sai包囲網・中一の夏編 26


(26)
「あぁ、服はね」
 今、進藤が身につけているものは、先程まで胸元までたくし上げられ
ていたTシャツと、片方だけ残っている靴下だけだ。
「saiとの対局が終わったら返してあげるよ。キミはそのまま逃げ出
しそうだからね」
「対局?saiと?」
「何でも言う通りにする。saiと打たせてくれると言ったのを忘れた
のかい?」
「だって、それは・・・」
「忘れたって言うなら、思い出させてあげようか?」
 ちらっと進藤の下肢に視線を向けると、薄い肩が竦み上がり、慌てて
頭が左右に振られた。
「忘れてない!忘れてないよ!」
「なら、いいよ」
 進藤の服を人質に、テーブルの上に碁盤と碁石をセットする。
「手が痺れていて打てないだろう?今日は、ボクが代わりに石を置くよ」
 渋々という感じに、頷く進藤。そう、約束は約束だからね。何として
も守って貰うよ。
「ボクが握るよ。どっち?」
 おそらくsaiと相談しているのだろう。進藤が一瞬、斜め上を仰ぎ、
小さな声で答えた。
「・・・奇数」
「二、四、六・・・九か、キミが、いや、saiの先番だ」
 お願いしますの後、予想通り返って来た初手は、
「右上スミ小目」



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