平安幻想異聞録-異聞- 26
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夢の余韻が、ヒカルにそんなことを口に出させた。
「オレってはたから見ると、その、おまえの稚児みたいに見えるのかなぁ」
「誰がそのようなことを。そのような口さがない噂話など
無視しておやりなさい」
「おまえもさ、オレにそういうことしたいって思ったことあるの?」
そういって、佐為を見上げたヒカルの瞳は揺らいで今にも泣きそうだった。
だから、佐為は必要以上に声を張り上げてしまったのだ。
「そんなわけないでしょう!」
「佐為」
「ヒカルは私の警護役。検非違使の仕事だってちゃんと勤めあげているではないですか!
一人前の武士に対するのと同様の敬意を払いこそすれ、そのように稚児のごとく
扱うなど、できるわけありません!」
ヒカルは佐為の剣幕に目を見開いた。
「……うん、わかった」
そう言ってヒカルは、少し笑ったが、その瞳の不安げな色が少しも薄れていないのが
佐為には気掛かりだった。
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