パッチワーク 26


(26)
このマンションに帰ってくるのは約一ヶ月ぶりだけれど三星杯から帰国したあとが記憶が曖昧なせいか
半月も経っていない気がする。管理人室に寄って救急車のことや長期の留守で迷惑をかぇたことをわびて、
お礼がわりのお土産に小田原名産の梅干しと籠清の蒲鉾を渡す。部屋の玄関を開けると湿ったようなほこ
りっぽい様な空気の臭いがした。救急車で運ばれたと聞いたのと自分に記憶がないのでどんなに乱雑にな
っているか、特に生ゴミの始末に覚悟していたけれどその気配がない。とりあえず持ってきた衣類をクロ
ーゼットにしまおうとして気づいた。彼の服がない。部屋を見回してみると彼がこの部屋においていた雑
誌や鞄もなくなっている。あわてて台所の食器棚を開けてみると彼の茶碗や箸、湯飲みやカップが無くな
っている。僕にとっては半月でも彼にとっては半年なのだと知識としてはわかっていても実感がない。だ
から切迫感がなさ過ぎたのかもしれない。のどに渇きを覚え冷蔵庫を開けると入っているのはビールやワ
イン・ミネラルウォーターで彼のために切らさないようにしていた清涼飲料水の類と食べ物がない。他に
もなくなっている物がないか確認しようと家の中をチェックしてみると彼の物が何も残っていない。まる
でここで彼と暮らしていたという僕の記憶が妄想であるかのように。逆に増えていたのは僕の服だ。パジ
ャマや下着類が僕の記憶しているよりも数が多い。 前に持っていた覚えはないけれど病院で着ていた覚え
のあるから誰かが病院に持ってきてくれたのだろうか?あっ、いけない市河さんに入院していた間の費用
立て替えてもらっていたんだ。多分、服も市河さんが用意してくれたのだろう。お礼の電話をしなくちゃ。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル