ルームサービス 26
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実際始めての時はそうだった。
泣き喚き、終わった後に気絶してしまった涙でボロボロになった
顔と、現在より小さかった汚れた体を見おろしたときは、大切に
していた小さな花を散らしてしまったような気がして、ひどい罪悪感が
あった。
だが、その甘美さを忘れることもできなかった。
そして、とりつかれたように、それを味わううち。
花は散ってなどいかないのだと気がついた。
苦しげにアキラのものを飲み込んで震えているかに見えたそこが、
アキラの手が肌を這いまわるのに反応して、あまく収縮し始める。
乳首と前の芯が、花開くようにたちあがる。
かわいらしい唇がなやましい喘ぎを奏で始める。
色素の薄い瞳が潤んでやや黒目がちになり、震える指がアキラの背中にまわり、
激しくつきあげたアキラの動きに爪をたてる。
「とう・・・や・・・とう・・や・・・・・あっあっ」
花びらは散ってゆく。しかし、その下から、また花が、以前よりも
さらに美しくなった花びらが咲いてアキラを誘う。
アキラは必死になるしかなかった。
常に必死だった。自分が抱いててもヒカルが自分のものに
なったなどという気持ちはわかなかった。
この目もくらむような光で、自分を惑わせる花に必死でくらい
ついていくしかなかった。
ヒカルの肌に跡が残らないことがそのことを象徴しているような気がした。
アキラに貫かれて、揺られ、しがみついて、激しくくねっていたほそい体。
その爪はアキラの背中に甘い跡を残しているのに・・・。
ヒカルの体には、何も残っていかない
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