失着点・龍界編 26


(26)
あの夜、自分のアパートで自分を待っていたヒカルの様子を見て、
アキラは悟っていた。ヒカルの身に何があったのかを。
感情を消してはいるが、決して許している訳では無い。
アキラの目はそう示している。
ただおそらく全てをアキラに話したとしてもアキラは二人に対し
何か具体的に行動をとる事はないのだろう。
以前からそうであった様にアキラの視界から完全に自分達は抹殺される、
アキラの住む世界に二人は居ない者となる。それだけなのだ。
現実にそうならないだけでも良しとするべきだった。
アキラに殴られるか非難される事で罪の意識を軽く出来ないかと考えていた
和谷と伊角の期待は絶たれた。完治したはずの痛みを呼び戻そうとするかの
ように和谷はきつく右手を握りしめる。
「…余計な事かも知れないけど、進藤に何か用事があったんじゃないのか?」
伊角が尋ねる。アキラとヒカルが会う事を両方の親から禁じられている事を
噂で知っていた。
「…よかったら…進藤に伝言しておくよ。」
アキラはその申し出を断ろうとしたが、少し考え、返事をした。
「携帯が見つかったから代わりにボクが取りに行くと、それだけ伝えて
おいて下さい。」
「…わかった。」



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