平安幻想異聞録-異聞-<水恋鳥> 26 - 30


(26)
水に胸まで沈んだヒカルが、自分の鎖骨の上を甘噛みしながら這う柔らかい佐為の
唇の触感にに、溜め息をつきながら目を閉じた。
腰を揺すり、快楽を追うことに集中しようとしているようだった。
しかし、それにもやがて限界が来る。
無理もない。悦楽を強く感じれば感じるほど、下肢からは力が抜けていくのだ。
ヒカルが積極的に動かなくてはいけないこの体勢で、佐為の助けなしに最後まで
行き着くのは不可能だった。
「佐為、お願い。奥、突いて」
佐為は、ヒカルを抱きかかえるように持ち上げ、体勢を入れ替えた。その際に、
ヒカルの後腔の出入り口近くの敏感な場所を強く引っ張るようにされて、ヒカルが
天を向いて喘いだ。今度は佐為が、ヒカルの体を岩肌に押し付けるようにして、
自分の体との間に挟み込んだ。
「くぁ…っん!」
望み通りに、奥の壁を摺り上げた佐為の動きに、ヒカルが悲鳴を上げた。
「はぅっっんっ」
もう一つ突き上げれば、体全体をよじるようにして反応する。
そのまま、抉るように何度か再奥の肉壁をなぶってやれば、その度に冷たい水の中で
佐為に支えられた腰がわなないた。
抜き差しする度に、水が一緒にヒカルの中に侵入するのがわかる。
こらえ切れない声に、それを押さえようとしたヒカルの指が口元に伸びるように
見えたが、戸惑うように空をさまよったあと、結局佐為の肩に掛けられた。その
手に、佐為の黒髪が細く幾筋も絡まっていた。
「もっと……」
「ヒカル?」
「もっと」
掠れ声での嘆願に、佐為は体の中の熱を煽られてヒカルの体を岩に縫い付ける
ばかりの勢いで強く抽挿を開始する。


(27)
「はっっ、あ、あ、んはっっう……!」
体の動きの勢いに跳ねられた水がぱしゃぱしゃとしぶきを上げて、
ヒカルの顔にかかった。
「あっっ、あっっっ!」
叫ぶようによがるヒカルの挿入部をさらに自分の方に抱き寄せる。
突き上げられる度に、岩に背中があたって痛いだろうと思うのに、ヒカルは
ひたすらに佐為を求め続けた。
求められるままに抽挿を強めて、少年の伸びやかな体を岩に押し付け、何度も
奥を突き上げる。その動きに抵抗する中の肉を思う様蹂躙して、ヒカルが自分に
しがみつき、首の付け根に顔をうずめるようにして悲鳴を上げているのを感じ
ながら、中に精を吐きだした。
ヒカルの様子がおかしいのに気付いたのは、一息ついてからだった。
そして、自分の下腹部に当たって存在を主張するヒカルの若い男根が、まだ
固いまま張りつめているのに驚いた。
「ヒカル! 何してるんです?!」
その手が、自身の根元を押さえるようにして、吐精するのをこらえていた。
ヒカルはまだ達していないのだ。
辛いのか、ゆっくり息を吐きながら後ろの岩に体重を預け、佐為を挑発するように
言う。
「あれぐらいじゃ、いけない。もっと激しくしてくんないとオレ、いけないよ」


(28)
自分の心に巣喰う、醜いどろりとしたものが動くのを佐為は感じた。
ヒカルが、唇が触れそうな程間近に顔を寄せてきて、半分目を閉じたまま囁いた。
「昨日、言いそこねちゃった事だよ。佐為。気なんか使うなよ。もっと無理して
 くれてもいいんだ。オレは、お前のものだから。お前はオレをしたいようにして
 いいし、オレはお前になら何をされてもいいんだ」
だから、もっと――と。
寂しいなんていうな、と。
佐為は自分の手を流れに沈め、自身の根を戒めているヒカルの手に重ねた。そして、
その指を一本ずつ外させると、かわりに自分の手で握るようにして根元を締め付ける。
ヒカルは岩から背を浮かせ、覚悟を決めたように佐為の首に取りすがり、一言。
「酷くしていいから」
その言葉に対する、佐為の返事は優しいものではなかったのは確かだ。黙ってヒカルの
体を奥まで貫いたのだから。
「くぁ……っんん!」
ヒカルの背が躍るように跳ねて、水しぶきを散らした。達する寸前まで高められて、
本当なら今の容赦のないひと突きで達してしまっていても不思議ではないヒカルの
体だったが、さっきまで自分の手で戒めていた根本を、今は佐為の手が縛っている。
「…はぅっ!…くんっんっ……んっ!」
佐為は、自分の中の暗部が欲するままに何度も突き刺し、突き上げる。
首に回されたヒカルの腕さえ、この熱さだ。その内部にどれほどの熱がこもって
しまっているのか、どれほど感じやすくなっているのか。だが、清流の冷たさに
さえ冷やされない、そのヒカルの体の火照りが、佐為の心を暖めるのだ。いきつけ
ない苦しさが体にこたえているはずなのに、ヒカルが先をねだる。
「まだ、まだ、佐為。もっと強くしてくれなきゃいけない……っ!」
ヒカルの中へ佐為のモノが行き来する時に入り込む川の水さえ、すぐに生温くなる
程の熱だ。
「ヒカル、ヒカル」
名を呼び、声で耳たぶを嬲り、佐為はさらにその体の奥まで侵入し、押し広げた。


(29)
水中で自分の足に触れるヒカルの足が、突き上げられる度に不安定にふらふらして
いる。それもそのはずだ。この姿勢では、背の低いヒカルの方がつま先立ちして
背伸びしていないと、佐為のそれを体の中に全部収めていられないのだ。
佐為はその両の膝を、片手で片方ずつ雅びやかな動作ですくい上げた。
不安定ながらも体を支えていたものを奪われて、ヒカルが思わずといった悲鳴を
あげて、佐為にしがみついた。
持ち上げられた足を、左右から佐為の腰に巻きつける。
体重のほとんどが、佐為を飲み込んだ一点にかかった。
「ヒカル……!」
「……まだ!もっと酷くしていいからっっ!」
こんな風に自分の醜い部分が向きだしになったような気分は初めてだった。
ヒカルに対してこんなにも嗜虐的な気持ちになるのも。
佐為は縄をなうような動きでヒカルを揺らしながら更に、いまや手と足と、
全身を使って佐為にしがみついているその少年の、おおらかに育った綺麗な
腕を自分の首から外してしまった。
「や………っ!」
更に支えを失ったヒカルが、苦悶に近い表情で忌避の声を漏らす。
だが、さっきの「何をされてもいい」という言葉通り、抵抗のそぶりすら見せない。
佐為がその腕をそっとヒカルの背に移動させると、ヒカルは従順に、佐為に
されるがままに、自身の二本の腕を自分の腰の後ろに回した。佐為はというと、
片手でその手首をまとめて掴んで、ヒカルが再び佐為にすがりつけないように
してしまう。もう片手は、まだヒカルの張りつめた男根の根元を戒めたままだ。
そのまま大きく突き上げた。
ヒカルの体重を支えているのは、まさにふたりが繋がっている場所だけになって
しまった。


(30)
他に拠り所をなくしヒカルの体が、なんとか自分の姿勢を支えようとして、
秘口が佐為のモノを食いちぎれんばかりに食い締める。
「やだ……! …やだっ!」
だが、そう言いながら、後ろ手に戒められた両の手を、決してほどこうとは
しないのだ。戒める力は、ヒカルがその気になれば簡単に逃れられる程のもので
しかないのにも関わらずだ。
ただ、なすがままに揺さぶられて、金茶の前髪が水滴を散らし跳ね上がのに任せる。
嫌だと叫びながらヒカルの頬を流れ落ちるのが、涙なのか水滴なのか佐為には
判別がつかない。
少年の細い手首を拘束した手で、同時にヒカルを支え、いい所を探るように、
中を掻き回す。ヒカルの体が大きく動くたびに、そこにより体重がかかって、
少年の細い体躯のより深くまで佐為のそれが刺さっていった。
「あぁ、佐為、佐為、佐為!」
ヒカルが、助けを求めるように不安定ながらも懸命に佐為に頭を寄せてきた。
何かを払いのけるように首を振っているその様子に、いつものあれが来たのだと
悟った。過ぎる快楽にヒカルが正気に戻ってしまう一瞬だ。だが、ヒカルは耐えて
飲み込むような表情をしただけで、それ以上は佐為を拒絶しない。
せめて、その時にヒカルの頭をよぎる暗いものを忘れさせてやりたくて、佐為は
この体勢だとちょうど目の高さに来る、ヒカルの胸の淡く色づいた小さいグミの
実のようなそれを、口に含んだ。
頤を大きくそらすようにしてヒカルが啼いた。
口の中の実を嬲りながら佐為が突き上げるたびに、水面が光を反射してキラキラ
揺れて、ヒカルは上を向いたまま喉を鳴らす。
呼吸と淫声の間隔が合わず、息がしずらくて苦しいのだろう。
すでに二人とも体を包む水の冷たさなど感じなくなっていた。お互いが中でこすれ
あう灼熱の感覚だけがすべてだった。
「……もっと、もっとして…佐為…! 壊しちゃっていいからっ」
ヒカルの言葉は、佐為の一番深くて暗い部分に食い入ってくるようだった。
すでに少年の体の最も狭い奥まで届いていた自身で、まるで内蔵を掻き出す
ように強く何度も抉る。入るときは焦らし、引くときは一番敏感な場所を慈悲も
無く強く擦っていく。



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