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(26)
口の中に広がる異様な感触も、見知らぬ男たちにひざまずかされている今の異様な状況も心を殺してしまえば、ただの「感覚」でしかない。
自分を殺す、感覚になりきる。
アキラはこういう「遮断」がうまかった。
外の世界を遮断して盤上の石をすべての世界とする。
そういう世界に住んでいたからだ。
だから、そういう世界の外に自分を追い出してしまうことも容易に出来た。
むしろ、自分のこんな姿に狂おしいほどの苦痛を感じているヒカルをさえ思いやっていた。
アキラの皇かな舌が、男根にしなやかに絡みつき
静かに動き始めると
頭上の男は、アキラの艶やかな髪をわしづかみにした。
「いいぞ、なかなかうまいじゃないか?」
「こいつ、思ったより度胸据わってるな」
泣き叫んで許しを乞うかに思えたアキラの無抵抗な姿勢が、彼らには以外だったようだった。
そのとき、アキラがちらりと男の顔を見上げた。
(ン?まさか・・・)
男は一瞬たじろいだ。
アキラの切れ長の美しい眼が、一瞬笑ったように見えたのだ。
そんなはずは・・・いや、それにしても?
コイツ、慣れている・・・いや・・・うますぎないか?


(27)
「――ッ!」
アキラの口技は巧みで、男は早くも吐精してしまった。
まさか…こんなに早くイかされるなんて…。
茫然とする男をヨソに、アキラは喉を鳴らして、その白濁を飲み下す。
――進藤のと違って、苦味を帯びた青臭い味だ…。
冷静に分析しながら、アキラは唇の端に付着していた飲み残しの精液を舌でペロリと舐めとると、少年とは思えない淫靡さを含んだ眼差しで男を見上げた。
「次はナニをしましょうか?」


(28)
「おい。楽しませてくれるじゃないか」
アキラの冷たい視線に気おされている男を押しのけて背後の、肩の盛り上がったい首気味の大柄な男が進み出た。
「何でもするといったな?今に後悔するぜ」
「そちらこそ」
「なに?」
予想だにしない言葉に男はたじろいだ。
「ボクを後悔させないで下さい」
口元を拭きながら、アキラは泰然と言い放った。
男は顔を赤らめて、視線を泳がせながら言葉を捜す風だった。
「そうか。−そうかよ!!期待にこたえてやるぜ」
上ずった声だった。完全に血が上っているのがわかった。
「満足させてやるよ。次にしてやることはこっちが決める。泣いて見せるなら今だぜ」

(・・・一体どうしたんだ!?)
ヒカルは、唖然とアキラの信じられない言動を見守っていた。
(あれじゃ自分からひどい目に合わせろといってるようなもんじゃないか?
搭矢、オマエ、殺されるぞ!)
だが、男たちがいまやヒカルには完全に興味を失い、凶暴な欲望のすべてをアキラに向けているのも事実だった。
言葉を発するまもなく、アキラは地面にねじ伏せられ、制服の胸のボタンが飛んだ。
白い肩が見えた。
その肩に誰かが顔を寄せたのも。
「あう!」
短い悲鳴。
「獲物には印をつけないとな」
下卑た笑いのむこうで、ざんばらの髪の中のアキラの瞳に涙がにじんでいるのが見える。
肩からはうっすらと血が流れていた。
引き結んだ口もとが静かに、ヒカルに向かってだけ動いていた。
(ニ・ゲ・ロ)


(29)
進藤を守る為なら自分を傷つけられることなんて、少しも厭わない。
だから…お願いだから早く逃げるんだ!
アキラはいっこうにそこを離れようとしないヒカルに焦りを感じていた。


(30)
ヒカルは肩を震わせ、大きな瞳をめいいっぱい見開いて、こちらを見ている。助けようか、それとも逃げるべきなのか、決め兼ねて混乱しているような表情をしている。そんなヒカルを見るのが辛くて、アキラは、どうしてこうする以外に彼を助けることができなかったのかと男達から陵辱を受けながらも自分を責めていた。
「おいおい。楽しませてくれるんじゃなかったのかぁ!?」
アキラの生白い上半身を、血が滲むほどに噛み痕をつけていた男が、荒い息と共に吼える。
「ハハ。そう焦らないでくださいよ」
男に馬乗りになられ、華奢な体を強張らせつつも、猶も煽るようにそう言い放つアキラ。
いまや、汗で額や頬、細い首筋に髪の毛が貼りついている。細い肩も切れて血が出ている薄い唇も、漆黒の睫毛が縁取るその切れ長の目も、妖しく笑うその口許も、その総てが男の怒張したモノの硬度を上げさせていた。
男はすでに自分が組み敷いているのが少年だという事など頭から消え去っていた。



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