平安幻想異聞録-異聞- 番外 27
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「こやつが死体で見つかったことを知ったとき、佐為の奴がどんな顔を
するか想像しただけで溜飲が下がる思いよ」
座間が喉の奥で笑う。
「まことに。ましてや寵愛する検非違使が、このような無残な死に方を
したとなれば、佐為の君の白いかんばせが、更に白くなりましょう」
「楽しみじゃのう」
「それに、もうひとつ……」
そう言って、菅原が自分に近づくのを、ヒカルは混沌とした意識の中で
感じていた。
太刀が抜かれる気配がして、左の太ももの内側に、切りつけられるような、
鋭い痛みが数度、角度を変えて走った。
もっとも、あまりに体中の痛みが酷すぎて、それは痛みというほどには、
ヒカルを苦しめなかったが。
菅原の声がする。
「これで、万が一、この検非違使が生きて帰ったとしても、
我らには楽しい余興となりましょうぞ」
座間が問い描けるのに、菅原がボソボソと何か説明するのがわかったが、
その話の内容まではヒカルの耳に届かなかった。
二人が手を叩いて笑う音がする。
それが最後だった。
ヒカルは、今度こそ本当に、意識を手放し、
眠りとも死ともつかない闇の中に落ちていった。
<平安幻想異聞録-異聞-の番外+了+>
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