社妄想(仮) 27


(27)
「塔矢ぁ……」
涙で頬を濡らして、ヒカルはアキラを見つめた。
求められているのだとは解る。
そしてそれが薬の影響だと云う事も解っている。
だが、アキラは戸惑いを隠せなかった。
いつものヒカルはセックスを自分から求めてきたりはしない。
アキラがそれとなくそういう雰囲気に持っていき、乗り気でないヒカルを宥め賺しているのが常だった。
ヒカルもセックス自体が嫌いな訳ではなく、感情と身体が同じ沸点に達すると、
時々は自分からも行為をねだるような動きを見せたし、あられもない嬌声も上げた。
ただ、ほんの少しの未だに残る同性同士の行為に対する抵抗と、
多分な羞恥がヒカルにそういう態度を取らせている事も解っていたから、
アキラはそんなヒカルをも愛しいと思ったのだ。
時々涙混じりに「おれは女じゃないんだからなっ!」と怒鳴ったりしながらも、
必死で自分の中の違和感を消してアキラの思いを受け入れようとするヒカルが、
(本人に言ったら怒られるのだろうが)可愛くて仕方がなかった。
だからこそ、今自ら腰を持ち上げ、アキラを受け入れようとしているヒカルの姿が信じられなかった。
四つん這いになったヒカルは獣の体位で自分を受け入れようというのだ。
少し前に、背後から挿入しようとした時、ヒカルはその体勢での行為を激しく拒んだ。
「オマエの顔が見れないのが、不安だし、……嫌だ」
そう言いながら羞恥に涙を溜めていたヒカルはアキラの記憶に新しい。
不貞腐れたようなその表情が、ヒカルの恥ずかしがり屋な一面を垣間見せて、
言っている事もアキラには男冥利に尽きるもので。
アキラは抑制がきかなくなって、激しくヒカルを攻め立て……
結果、数日間口をきいて貰えないような事になった。
ヒカルは、信じられない程性的な知識に疎かったし、見せる反応も幼かった。
アキラは何度抱いても慣れないヒカルを壊れ物のように扱っていたし、ヒカルも
そんなアキラの愛撫にだからこそ漸く気持ちと身体を一致させようと努力してきたのだ。
ヒカルは、アキラにとって、純粋そのものの存在だった。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル