少年王アキラ 28


(28)
オガタンは黙々とアキラ王へ服を着せていく。つい先刻には胸躍らせて脱がせた服を、
目的も果たせずに再び身につけさせる行為は虚しい……。
「どうした、オガタン!なにをぐずぐずしている?」
自然と手が鈍るオガタンに、短気なアキラ王は足を踏み鳴らし眉を顰めて抗議する。
「不肖、この私めがお手伝い致します」
今まで頬を紅潮させ内股立ちで身悶えていた座間だったが、己が役目に目覚めて進み出た。
―余計なことを!
反射的に睨んだオガタンだったが、冷たい一瞥を受け頬を染める可憐な執事を
見てげんなりとして視線を逸らす。
―…あんなヤツに貴重な薬を使わなくてすんだだけマシだったな。
大人なオガタンは自分にそう言い聞かせ、誤魔化すことにしたようだ。
ようやく身支度が整うと、アキラ王はハマグリゴイシに歩み寄り、
その背にヒラリと跨った。
右手に持った鞭で前方を指し示し、
「よぉし、今度こそ行くぞぉ!」



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