sai包囲網・中一の夏編 28
(28)
それから、毎日のように、進藤はボクのところにやって来る。碁の神
様とも言えるsaiとして碁を打ち、そして、生身の進藤ヒカルとして
ボクに抱かれるために。
saiとの対局は精神の、そして、進藤とのセックスは身体の快感を
与えてくれる。どちらか片方が欠けても、これほどの快楽を味合うこと
はできない。ボクにはsaiだけではなく、進藤ヒカルも必要なんだ。
「塔矢」
ある日、ぽつりと進藤が言った。
「お前、オレの幻影なんか追ってると、本当のオレにいつか足もと掬わ
れるぞ・・・」
「キミが?いつかといわず、今から打とうか?」
そう答えながらも、ボクはそのいつかを待つために、進藤をこの腕に
捕らえ続けているのかも知れない・・・。
End.
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