弄ばれたい御衣黄桜下の翻弄覗き夜話 28
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「なんで……」
「門脇さん、この事はナイショにしといて。誰かに言ったらマジで怒るからね。俺、
先生にはこれ以上、この事で迷惑掛けたくないんだ」
「なんで、そんな事になったんだよ」
「その前に、俺のズボン取って」
泣き声を上げすぎて枯れてしまった声で言いながら、門脇の横の布の山に手を
伸ばす。その時、門脇の手に僅かに触れたヒカルの腕が、まだ余韻の汗に濡れて
湿っているのを感じた。
「おい」
「門脇さんも、さっさとしまわないと、そこから風邪ひくよ」
まるで子供をなだめるみたいに言われて、門脇もしぶしぶ前をしまい、着衣を整えた。
体にまとわり付く芝生の切れ端を払いながら、服を着込むヒカルが呻き声を上げた。
「もう門脇さん、乱暴すぎっ! 体中いてーよ」
「泣くほど良かっただろ? 文句言うな」
「うるさい!」
どうにか元通りにその肌をしまって、ヒカルは最後にシャツの手首のボタンを
留める。
ボタンが、夜灯を反射して光るのを眺めながら、門脇は改めて聞いた。
「で、どうして、塔矢行洋とそんな事になったんだよ」
「俺がここで言ったことは、塔矢先生にも秘密だよ」
門脇は頷いた。
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