パッチワーク 28


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最初の北斗杯の合宿のあと彼は時々家に泊まるようになった。そのころ僕は自分の気持ちを自覚して
いなかった。僕にとって彼は小学校以来久しぶりに得た同年代のしかも話が合う友達だった。僕の行
っていた小学校は母の母校で一学年一クラス、しかもクラスの人数は30人くらいしかいなくて女子大
の付属だったせいか男子の方がちょっと少なかった。ばらばらな地域から通ってきているから家に帰
ってしまうと皆で遊べないので学校は7時までなら残っていても良かった。僕は習い事をしていなか
ったから放課後は学校でクラスメートと6時くらいまで一緒に宿題をしたり遊んだりしてから碁会所
に行っていた。中学からは女子校になってしまうので父の母校の海王中に行くことにした。生徒数が
小学校と桁違いに多いのは覚悟していたし、囲碁部で浮くことも覚悟していた。でもクラスは基本的
の6年間もちあがりでそこここ仲のいい生徒はいた。たしかに中一の夏から秋にプロ試験があったけれ
ど海王中は週休2日制だったので実際に休んだのは火曜日だけだし、二年になりプロとしての生活が始
まって出席日数は徐々に減っていたけれどクラスの中ではいつもだれかしら短期留学で休んでいたし、
既に大学の研究室に出入りしているような生徒もいた。他のクラスでも将棋の奨励会の会員や音楽や
バレエで国際コンクールに出場するため個人レッスンなどで半年近く学校に来ない生徒もいたりで休
んでいても皆気にしていなかったからクラスの居心地はそれなりに良かった。中学で辞めたのは僕を
含めて学年で5人ほどだったと思う。



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