ルームサービス 28 - 29


(28)
(塔矢、ね・・・塔矢・・・お願いだから・・・・)
頭の上にネクタイでくくられれた両腕を固定され、ベッドにねかされた白い
裸体、小さな頭をのけぞらせて枕にすりつけ、時折左右にふり必死で快楽をこ
らえている。薄く汗をかいた肌にアキラが触れると懸命にすりつけて来る。わ
ざとはずすと、泣き出しそうになる表情がたまらなくかわいらしくて何度もキ
スをした。
それはすばらしい光景だった。
ずっと見ていたいと思った。
花は散らすより愛でるものなのだと妙に納得した。
写真にとっておきたいと思ったので写真にとった。
トイレに行って、手を洗ったあと、ポケットの中の手紙に気が付いた。
開いて読む。ラブレターとは名ばかりの妄想の羅列。
だが、その文章にはまがいのない熱がこめられていて、それと
携帯の写真を見ながら。アキラは抜いた。
手に残った白い粘液を見て、情けなさに少し笑った。
手紙でそれを拭き、ちぎってトイレに流した。
(よかったな、犬)
手紙は流れてしまったが、その主が送った器具は、本当にヒカルを
犯し、甘い喘ぎをあげさせている。
手紙の主が知ったら狂喜乱舞するだろうか。
(・・・・・・ボクに嫉妬するだけか)
ヒカルの姿に同じような妄想を抱いている犬は一体どれくらいいるのだろう。
(犬)
鏡の中の自分をみる。凶暴な顔をしていた。
(お前たちの妄想をボクが本当にしてやろうか?)


(29)
 「進藤、後ろむいて、お尻、洗うから」
シャワーの湯に身を委ねていたヒカルがうっすらと目を開く。
「いた・・・いから、ゆっくり・・・うっ」
つらそうにうつぶせになった背中を震わせる。
だが、シャワーの水流の向きがかわり、奥に水が入った時。
「あう・・・ん」
声に微妙なリズムがあった。入り口近くはつらいらしいが、奥は
そうでもないらしい。
「もっとお尻あげて」
素直にかかげられたかわらいらしいふたつのまるみの中心をアキラは
注意深くあらう。
「う・・んっ・・・うあっん」
二人だけの浴室に声が響く。
アキラがシャワーを置くと、ヒカルがけだるげだが上気している顔をアキ
ラの方へむけた。



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