Shangri-La第2章 29
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以降、毎日のようにあったアキラからの電話は一度もない。
メールは、2〜3日して一回だけ来た。
無理をしないように、時間が出来たら何時でもいいから
電話が欲しい、という内容が、とても簡潔な文章で書かれていて
すごくよそよそしい印象を受けた。
その上、電話が一切ないのは、流石に少し気になる。
バイト中に電話を使うと、あとで色々と冷やかされるのだが、
もうそれを気にしてもいられない。
それにいつもなら、この時間でもすぐ電話を取るのだが……
「進藤君、そろそろ時間だよォー」
ヒカルははっと顔を上げた。
「あっ、はーい!今行きまーす!」
慌てて電話を切って、携帯を置きに戻った。
結局、アキラと話すことはおろか、
留守電にメッセージを残すことさえ出来なかった。
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