闇の傀儡師 29 - 30


(29)
背中に触れる冷たい床の感触と、自分のベッドのマットの感触が混じりあうのを感じ、
ようやくヒカルは覚醒出来るかと思った。
その時、カシャン、と冷たい金属が足首に触れた。
「えっ…?」
しばらく傍に居なかった男が戻って来て、何かをヒカルの足首に取り付けている。
ぼんやりした意識から、再びここへ繋がれてしまった事にヒカルは唇を噛んだ。
両足首にはそれぞれ金属の輪がはめられ、その輪には鎖がついていて、その先に
重りのような丸い球体がついていた。
重り?何の為に…?
「やれやれ、少し準備に手間取ってしまった。もう少しで間に合わなくなるところだった…。
ヒカルくん、あれをご覧。」
そう言って男の手がヒカルの上半身を抱き起こす。
そしてヒカルはそこに信じられない物を見た。
それは跳び箱程の二倍程の大きさの木で出来た台だった。上が尖った
いわゆる「三角木馬」というもので、ヒカルもそれは何か処罰や拷問道具として
使われるものだと何かの本で見た事があった。
ヒカルの顔から血の気が引き、カタカタと全身が震えた。
「…い…やだ…」
そう小さくやっとの思いで声を出した。
「そうだね、ヒカルくん。私もこんな事はしたくない。だから君に心に強く念じて欲しいんだ。
ずっと、ここに私と一緒に居たい、と。向こうの世界には戻りたくないとね。
そうすれば一生ここで、充分君を可愛がってあげる…。素敵な服を着て、いつまでも君の美しさを
保ってあげるよ…。君は私にとって究極の美の女神なのだからね…、ヒカルくん。」


(30)
大きな手がヒカルの腕ごと上半身を両脇から挟み、ヒカルの返事を促すように力を入れられる。
ヒカルは力なくただ首を横に振り、項垂れる。
「お願い、助けて…」
膝の上にポタポタと涙が落ちた。全身の震えが止まらない。
「返事は?ヒカルくん?」
ヒカルはもう一度首を振る。物凄く怖かったが、男が言う通りに念じる事の方が
恐ろしい結果になるような気がした。
そして微かだが、アキラが今も自分のそばに居てきっと何とかしてくれるような、そんな気がした。
実際アキラは、ヒカルが酷く体を震わせ始めているのを心配して抱きしめ、体のあちこちを摩っていた。
アキラに会いたい。アキラの元に帰りたい、とヒカルは改めて強く思った。
「…そうかい、素直になれないようだね。」
男の両手が背後から救い上げるようにヒカルの腰の部分を持ち上げた。
「ヒッ」
体が宙に浮いて、両足首に下がった重りが相当重量がある事にヒカルは気付いた。
そのまま三角木馬の上に体を運ばれていく。
「や…っ、あっ…、」
男の手が、ぱっくりとヒカルの両足からその付け根を開かせ、尖った頂上の線に添うように
触れさせた。
「うあああ…」
男が両手を下に下げてヒカルの体重を手放すに連れて、ヒカルの股間に、臀部の谷間から
局部の根元にかけて一直線にジワジワと痛みが走る。
自分の体重と重りの分が、その線上に全てかけられていく。
バランスを崩して左右に倒れない男の手が触れるか触れないかの位置でヒカルの体を
維持してはいるものの、苦痛を軽減する手立ては何一つヒカルにはなかった。



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