失着点・境界編 29 - 30
(29)
「くう…うん…っ」
仔犬のような声をあげてアキラは2度目の射精をヒカルの口の中に放った。
さっきのような勢いはなかったが十分濃いものだった。
ヒカルはようやく指を抜き去ると体を上部にずらし、アキラの口の中に
自分の口の中のものを流し込んでアキラに飲ませた。
そのまましばらく舌をからめ合い、強く抱き締めあった。
「ちょっと焦げたトースターみたいな匂いがする…。」
ヒカルの言葉に、シャワーを使っていないアキラが顔を赤らめそっぽを向く。
「塔矢って、お尻の穴も濡れるんだな。ちょっとびっくりした。」
「うそだ…っ!知らないよ、そんなのっ…!」
額まで赤くして怒り出したアキラの、その額にキスをして、ヒカルは
服を脱いで全裸になった。ヒカル自身は固くそそり上がって先端から雫が
こぼれ落ちていた。いつもより大きく見えてアキラは少し怯えた。
そんなアキラの不安をよそにヒカルはアキラの両足の間に体を入れ、
アキラの両膝を抱え上げてアキラの体を二つ折りにするようにしてかぶさり、
程よく膨らんで柔らかさを保った火口に自分の先端をあてがった。
「もう一度聞くけど…オレが初めてだよな…。」
ヒカルが問い、アキラが頷く。
最も太い先端部分を、ゆっくりアキラの中に埋めていく。
「う…くっ!」
アキラが眉をひそめ目を閉じて顔をしかめ、ヒカルはその頬を掴んで振った。
「目を閉じるな…。オレが完全に入るまで、オレから目を逸らすな…。」
(30)
ヒカルに頬を掴まれたままアキラは頷いた。
全体重を乗せるようにしてヒカルは少しずつアキラを貫いて行った。
アキラの体がカタカタと小さく震えていた。今まで、自分がヒカルに与えて
きた痛みでもある。そう思って次第に強まり、広げられて行く鈍い痛みに
耐えている。言われた通りにヒカルの目を見つめたまま。
そのアキラの目から一筋ふた筋と涙が流れ落ちた。
「痛いのか…?痛いんだよな、やっぱ…。」
だがヒカルのその言葉には、アキラは首を横に振った。
ヒカルは胸の奥がドキンと高鳴った。
どれだけアキラがこの時を待っていたかが伝わってきたからだ。
二人の体が隙間なく密着する。
「は…あっ!!」
その瞬間、思わずヒカルは目を閉じた。瞬時に最初の到達が来た。
ヒカル自身を全て包み込み飲み込もうとするたまらない位の肉壁の感触。
アキラの中は、それほどに柔らかく至上に気持ちがよかった。
「あ…っ!!」
ヒカルの指で過敏になっている腸壁でヒカルの絶頂を受け止め、ほぼ同時に
アキラも3度目の到達をした。それは射精を伴わない、自分でも何が
どうなったのか分からない電流だった。
それでもヒカル自身は少しも硬度を失わず、アキラの中で再び熱を放ちだす。
「…動くぞ…。」
熱い呼吸でヒカルがアキラに伝える。ほとんど焦点を失った目でアキラは
小さく頷くことしかできなかった。
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