ルームサービス 29 - 30
(29)
「進藤、後ろむいて、お尻、洗うから」
シャワーの湯に身を委ねていたヒカルがうっすらと目を開く。
「いた・・・いから、ゆっくり・・・うっ」
つらそうにうつぶせになった背中を震わせる。
だが、シャワーの水流の向きがかわり、奥に水が入った時。
「あう・・・ん」
声に微妙なリズムがあった。入り口近くはつらいらしいが、奥は
そうでもないらしい。
「もっとお尻あげて」
素直にかかげられたかわらいらしいふたつのまるみの中心をアキラは
注意深くあらう。
「う・・んっ・・・うあっん」
二人だけの浴室に声が響く。
アキラがシャワーを置くと、ヒカルがけだるげだが上気している顔をアキ
ラの方へむけた。
(30)
「終わった?」
「うん」
手をアキラの方へさしだした。
「起こして」
アキラは言われた通りにヒカルの体を起こした。
起き上がったヒカルがアキラの裸の胸に頭をすりつけてくる。
自然にアキラはヒカルの背に手を回した。
浴室の扉が開く音がした。
(犬か・・)
せっかくいい雰囲気なのに、と残念に思ったとき。
ヒカルの体がふいに硬直した。
「やだ・・・・」
「・・・進藤・・・・?」
「や・・・だ、塔矢」
振り返った塔矢は、ヒカルの見開かれた視線の先に、犬の両手が
あるのに気が付いた。
手袋をしている。
(ああ、フィスト用って言っていたなあの手袋)
アキラは納得した。
そもそもアキラは、フィストが何を指すのかわかってなかった。
手紙の内容にフィストとあり、グッズの広告にフィスト用
ラバー手袋と書いてあったから注文してみたのだ。
持ってきた配達人の説明にさすがにアキラも驚き、本当に
使おうと言う気はさすがになかったのだが。
ヒカルはは怯えた口調で、アキラに哀願した。
「や・・め・・てくれ・・よ。頼むから・・死んじゃう・・よ」
「・・時間をかければ大丈夫だって言ってたけど・・」
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