金魚(仮)(痴漢電車 別バージョン) 3 - 17
(3)
「なあ、何とか言えよ…」
黙っているアキラに焦れて、ヒカルが催促する。
そんなことを言われても、何を言えというのだ。似合っているとか、可愛いとか言えばいいのか?
冗談ではない。そんなこと死んでも口に出せない。
ヒカルが小さく溜息を吐いた。
―――――ちぇっ……みんな似合うって言ってくれたのに………
少し拗ねたような、呟きが耳に入った。
みんな!?
みんなって誰!?
アキラは血相を変えて、ヒカルに詰め寄った。
一瞬ヒカルは呆然として、それからすぐにニヤリと笑った。しまったと思ったときは、
もう遅かった。
「ココじゃ何だから、向こうのベンチに行こうぜ。」
ヒカルはニコニコ笑って、アキラの手を引いて歩き出した。
(4)
強引に手を取られて、アキラは戸惑っていた。ヒカルはどういうつもりなのだろう。
こんな風に手を握って、まるで…………まるで、恋人同士みたいじゃないか……。
「よっと!」
ヒカルは、ベンチにドカリと座った。自分がスカートを穿いているという自覚がないのか、
大きく足を開いている。
その大股開きに会社帰りのOLやサラリーマン達がギョッとして―中にはニヤニヤと
イヤらしい視線をヒカルに浴びせながら―急ぎ足で通り過ぎていく。
「進藤、足!」
アキラは、慌ててジャケット脱いで、それをヒカルの膝の上に掛けた。
「いいよ……別に見られても困らねえモン……」
そう言いながらも、ジャケットは膝の上に掛けられたまま。
それより――と、ヒカルはアキラの耳元に口を近づける。
――ドキッ
瞬間、心臓が止まりそうになった。
(5)
耳にヒカルの息が掛かる。ほんの少し身体を動かせば、その柔らかそうな唇の感触を想像ではなく
直に知ることが出来るのに………。
そんなアキラの気持ちを知ってか知らずか、ヒカルは小鳥のような息づかいでそっと囁いた。
「実はさ………この下トランクス………」
絶句するアキラを面白そうに眺めながら、ヒカルは「見る?」と、スカートを捲り上げようとする。
驚いて、その手を強く押さえつけた。
ヒカルはクスクスと笑った。悪戯好きの可愛い子犬のような仕草で。
「それなのにさぁ………オレ、和谷のトコからココにつくまでに三回も声かけられちゃた……」
「誰もオレが男だって、気付かねえんだ。こんな色気のねえモン穿いてンのにさ…」
と、言って笑う。
キシシ………その笑いに擬音を付けるとしたら、こんな感じだ。
そう言えば、小さい頃に見たアニメにこんな笑い方をする犬がいたな…と、ボンヤリ考えた。
人の悪いちょっと意地悪な笑い方。
でも、そんな笑顔でさえも、アキラを惹き付けて放さない。すごくチャーミングな笑顔だ。
どんなに意地悪な表情をしていても、全然イヤミにならない。裏表のない素直な性格だから、
それが顔に表れる。なので、仕方ないなとみんな許してしまうのだろう。
いつもなら、アキラもそう思う。だけど今日は………
『どういうつもりだ……進藤…』
―――心(しん)から楽しそうなヒカルの態度に、アキラの胸中は複雑だった。
(6)
笑ってばかりでいつまで経っても本題に入らないヒカルに、今度はアキラの方が焦れた。
「どうしてそんな恰好をしているんだ?」
口調がきつくなるのは仕方がない。ヒカルは自分をからかって愉しんでいるのだから。
「だ〜か〜ら〜今から話すからさ…」
ヒカルはアキラの肩をポンポンと叩き、自分の隣の空いている空間を指さした。
座っているヒカルの真正面に身体をかがめて立っている自分の姿は傍目にどう映っていたのだろうか。
キスをする寸前の恋人同士に見えたかもしれない。
アキラは顔を真っ赤にして、ヒカルの横に腰を下ろした。
「そーそー目の前に立たれたままだと話しにくいじゃん…」
無邪気に笑うヒカルの頬をつねってやりたい。実際は睨んだだけだが、頭の中では、ヒカルの
柔らかい頬を思う存分捻り倒した。
「こ…こえーそんなに睨まなくてもいいじゃんか。」
「進藤!」
「わかったよぉ…言うよう…」
ヒカルは急にしおらしくなって、ことの顛末を話し始めた。
(7)
和谷の所での若手棋士の研究会。そこにヒカルは毎週顔を出している。院生時代の仲間の
伊角や本田、越智、それから足立、小宮、奈瀬達院生、森下研究会の冴木、一般からプロになった
変わり種の門脇など、メンバーは多彩だ。今日は、そのうち六人が顔を出していた。
研究会では、真剣にかつ賑やかにお互い活発な意見を交換していく。それが少々ヒートアップして、
ケンカになることもしばしばだが、それもご愛敬だ。
ケンカになる面子は大概決まっていて、ヒカル、和谷、越智などで、他のメンバーはそれを
仲裁するのに大わらわだ。
だけど、大人組は彼らが可愛くて仕方がないらしい。研究会の後はいつもお楽しみがあるのだが、
それはヒカルや和谷達にとっても大きな楽しみだった。
「ねー門脇さん。それ、ちょこっとだけ飲ませて?」
小首を傾げて、ヒカルに可愛くおねだりされると、嫌とは言えない。それでも一応、形だけは拒んでみせる。
「ダメダメ!未成年はダメ!…それに、酒に弱いんだろ?」
「でも、ちょっとだけ…ちょっとだけだから…大丈夫だよ。ね?」
両手を前ですりあわせて、ウインクされたらもうダメだ。
「しょうがないな…ちょっとだけだぞ。」
苦笑しながらヒカルに缶ビールを差し出すと、ヒカルは「ヤッター!」と、喜んで受け取った。
(8)
それを口元に持っていき、ヒカルは意味ありげに門脇たちに微笑んだ。そして、止める暇もなく
一気にそれをあおった。
「あ!コラ!」
と、彼らが慌てて缶を取り上げたときには、中身はほとんど、ヒカルの胃袋に収まってしまっていた。
「エヘへ〜飲んじゃった〜」
そう言って笑うヒカルの口調は既に怪しい。
「あ〜あ…バッカでェ進藤…!」
ヒカルを指さして、和谷もケタケタ笑う。和谷の座っている側には、既に空き缶が四、五本
転がっている。
「和谷…」
伊角がウンザリしたように溜息を吐く。そして突然何かを思い出したように、身体をパッと
跳ね上げた。
「越智…越智は?」
幸い越智は飲んではいなかった。…………いや、そう見えただけだった。越智は缶ビールを
握り締めて、なにやらブツブツと呟いている。
「越智?気分が悪いのか?」
恐る恐る近づいて、顔を寄せる。望んだわけではなかったが、彼の呟きが耳に入った。
「……………聞くんじゃなかった…」
と、伊角は頭痛を堪えるように、額に手を当てた。
(9)
「どうしよう…」
完全に出来上がってしまった三人を目の前にして、伊角は再び溜息を吐いた。
「大丈夫だよ。いつものことじゃないか…」
放っておけばいいと冴木は言った。
「そうだな。そのうち、正気に戻るだろう…」
門脇ものんきに笑った。
だいたい誰のせいだと思っているのだ――と、伊角は言いたい。ヒカルに飲ませたのは
門脇だし、和谷にビールを与えたのは冴木だ。越智…越智は、気が付いたら飲んでいた。
そうやって、悩む伊角の耳にけたたましい笑い声が響いた。
「アーハハハハ…何これー!」
「セーラー服だ…セーラー服だよ…誰ンだよ〜ヘンタイ〜」
ヒカルと和谷はヒイヒイとセーラー服を前に、腹を抱えて笑っている。
「あ、コラ!ダメだろ…人の荷物勝手にあけちゃ…」
慌てて止めようとした伊角に、ヒカルがしなだれかかってきた。
(10)
「ねーねーこれ伊角さんの〜?」
「!?ち、違う!門脇さんのだ!」
力一杯否定した。
「ふーん…そーなんだ…」
そうすると、ヒカルは急に興味をなくしたように伊角から離れると、今度は門脇の方へにじり寄った。
「ねーねー門脇さんって、ヘンタイ?」
なんと言うことを言うのだ!この酔っぱらい!伊角がヒカルの口を塞ごうとしたが、門脇は
笑ってヒカルの両頬を軽くつねった。
「イテ!いひゃいよ…かろわきしゃん…」
「これは宴会グッズだよ。前の会社の同僚に貸してたのを、今日、返してもらったの。」
門脇が手を離すと、ヒカルは頬をさすりながら、鞄の中を覗き込んだ。
「ふ〜ん…こっちは何?」
「これか?これはバニーガールだな…こっちはチャイナドレス…」
興味津々なヒカルの前に、門脇は鞄の中身を広げた。ちょんまげカツラや町娘のカツラ、
宴会部長と書かれたたすきなども出てきた。
「サイズ大きいね…」
「こういう物は男に着せて笑いをとるもんだからな…でも、このセーラー服は女物だな…」
「これは女の人が着るの?」
「シャレでな。」
「ふーん」と、ヒカルは暫くそれを見ていたが、おもむろにセーラー服を手に取ると
自分の胸に当てて、
「ねーねーこれ、似合う?」
と、トロンと目元を染めた笑顔のままで訊ねた。
(11)
「はぁ?」
門脇は絶句した。似合うかと否かと訊かれれば、「似合う!!」以外の答えはないだろう。
しかし………
門脇がどう答えようかと逡巡していると、横から割り込む奴がいた。
「お〜似合う!似合う!」
ヒカルと同じくらい顔を赤く染めた和谷がケラケラ笑って、大きく手を叩いた。
「んじゃあ〜オレはコレ〜」
和谷はバニーガールの耳を頭にかぶって、ヒカルに見せた。
「和谷〜かわいい〜」
二人で勝手に盛り上がるヒカルと和谷。 それを呆れて見守る三人、一人静かにだが着実に
空き缶を増やしていく越智。
「止めなくていいのかな?」
「酔っているヤツに何言ってもムダだと思う…」
「害はないみたいだからいいんじゃないかな…」
その時、背後で派手な音を立てて、何かが倒れた。
空き缶に埋もれて、越智が潰れていた。
「あ!おい…越智大丈夫か?」
突然倒れた越智に慌てて伊角が駆け寄った。
「急性アルコール中毒かな?」
「違うだろ…とりあえず、濡れタオル持ってくる。」
ヒカル達のことより、越智の介抱の方が先決である。三人はあわただしく、動き始めた。
(12)
そんな騒ぎは何処吹く風と、ヒカルと和谷は相変わらずケラケラと笑っていた。ヒカルは
セーラー服を前に暫く考え込んでいたが、唐突に、
「オレ、着てみちゃおうかな?」
と、少しはにかむように言った。
「お〜着ろ着ろ!」
和谷も無責任に煽る。
「オマエ、絶対に似合う!身体も小さいし、顔も女みたいだし…うん、着てみろよ!」
「うん!」
ヒカルはTシャツの裾に手をかけると一気に捲り上げた。突然目の前に現れた白い肌と
薄い胸の上に乗っているピンクの突起に、和谷は赤い顔をますます赤くして、目を逸らした。
「オマエ…恥らいってもんはないのかよ〜」
「和谷を相手に何を恥じらうって言うんだよ……」
「それはそうだけどさ……」
「見たくないなら、後ろ向いてよ。」
「情緒ってモンが足りネエよな」とブツブツ言いながら、和谷は素直に後ろを向いた。
暫くしてヒカルが声をかけた。
「いいよ。」
その声に和谷は振り返った。と、同時にヒカルがくるんと回った。スカートがふわりと舞い上がる。
「ジャーン!どう、似合う?」
「スゲー似合う…でもさ…」
と、和谷はちょっと言いにくそうに口籠もる。
「なんだよ?」
「トランクス………」
(13)
ヒカルが下を見ると、確かにほんの僅かだが、スカートの裾から下着が見えていた。
「あー…」
ヒカルはスカートを持ち上げて、「イケてねえ〜」と頭を掻いた。その頭に、何かがこつんと
ぶつかった。
「それ使えよ。」
和谷が安全ピンを投げたのだ。
「それでパンツの裾折って、止めたらいい…」
「おし!」
可愛く変身に再挑戦。しかし、スカートを捲り上げ、トランクスを折るその姿は可憐さとか
色っぽさからはほど遠い。
「色っぽくネエ…」
と言う和谷の愚痴をヒカルはワザと無視をした。
「どうだ?」
トランクスを完全に隠して、ヒカルは再度和谷に訊ねた。膝上丈のニーソックスとミニスカートの
間にある物は白く眩しい太腿だけだ。
「……うん…スゲー可愛い…女の子に見える…」
和谷はうっとりと呟いた。
「ホント?おかしくネエ?」
「全然!」
力一杯頷いた和谷に、ヒカルは「エヘへ」と照れたように笑った。
(14)
「じゃあ、外歩いても誰も気付かねえかな?」
「絶対大丈夫。女の子にしか見えねえモン。」
力強い和谷の言葉にヒカルは自信を持った。
「ちょっと、出てくる…」
と、ヒカルは玄関へと向かう。
「おー行ってこい!」
和谷も元気よく送り出した。
伊角達が、頭にバニーの耳をつけたまま酔いつぶれて眠っている和谷と脱ぎ捨てられた
ヒカルの服を発見したのはそれからかなり後のことだった。
―――――――――――と、こんな長い長いいきさつを、ヒカルはかなり端折ってアキラに説明した。
アキラに理解できたのは、研究会があったこと、宴会でお酒を飲んだこと、その勢いで女装を
したことだけだった。
………………だけど、やっと、わかったよ。
先程からの彼の怪しい言動の数々が…………。
「……要するにキミ…酔っているんだね?」
「酔ってねえモン…」
酔っぱらいの「酔ってない」ほど当てにならない物はない。それなのに、ヒカルはアキラに
顔を近づけて「酔ってない」と何度も主張した。
間近に迫ったヒカルの顔はほんのり桜色に色付いて、目元はトロンと潤んでいる。柔らかそうな
髪からはシャンプーの香に混じって、微かにビールの匂いがした。
(15)
しっかり酔っているじゃないか…………
アキラは小さく溜息を吐くと、ヒカルの腕を掴んだ。
「送っていくよ。和谷君の家はどこ?」
「え〜いいよ。それより、オレ、電車に乗りたい…」
電車に乗って、いったい何処へ行こうというのだ!?
ヒカルは自分の言動が怪しいだなんて、これっぽっちも思っていないようだが、どこから
どう見ても彼はおかしい。放っておくことなど出来るわけがない。
「ダメだよ!キミ、黙って出てきたんだろ?」
きっと、友人達が心配しているに違いない。そう窘めるアキラに、ヒカルはプッと、頬をふくらませた。
「黙ってじゃネエよ!ちゃんと和谷に言ってきたモン!」
「和谷君に………?」
自信たっぷりに頷くヒカルを疑わしげに見る。さっき訊いた彼の話からは、他の友人達がどういう
状態だったのかまではわからなかった。ヒカルの話は酔っているためか、まるで要領を得ないのだ。
ただ、こんな彼を平気で外へ出すくらいだから、和谷の方もまともな状態だったとは言い難い
であろうことは容易に想像できた。
ここに来るまでに、ヒカルは何度か声をかけられたと言っていた。何事もなかったから
よかったものの、もし、その相手が質のよくない奴で、ヒカルの情況に気が付いていたらと
思うとゾッとする。攫われて乱暴されていたかもしれないのだ。
いや、それよりも、外見は可愛らしい女の子でもヒカルは本当は男だ。例え、貞操の危機に
陥るようなことにはならなかったとしても、騙されたと逆上した相手に暴力を振るわれる
可能性もあったのだ。
だけど、ヒカルはそんなアキラの気持ちなどお構いなしに、しきりに「一緒に行こう」と
ねだっていた。
(16)
「やっぱりダメだ!送る!」
ヒカルの腕を掴んだまま、アキラは立ち上がった。有無を言わさぬその態度に、ヒカルは
完全に怒ってしまった。
「もういい!塔矢のケチ!オレ、一人で乗る!チカンに遭ったら、オマエのせいだからな!」
アキラを突き飛ばし、言い捨て駆け出した。
おまけに間の悪いことに、ちょうどその時、ホームに電車が入ってきた。アキラは舌打ちすると、
慌ててヒカルの後を追った。彼は酔っているとは思えないほど、軽やかな足取りで電車に向かって
駆けていく。ヒカルの華奢な太腿あたりで、スカートが翻っていた。
―――アレ?
なんだろう……この感じ…前にもあったような…………
軽い既視感を感じて、アキラは頭を振った。自分の視線の先でヒラヒラ舞うスカートに、
何故か覚えがあった。
アキラが奇妙な感覚に囚われているその隙に、ヒカルは電車に乗ってしまった。
「いけない!」
落ちかけたスピードを急いで上げた。
何とか滑り込むことができた。跳ねている息を整えるため、ドアに少しもたれるようにして
腰を落とした。俯いた視線の先に、細い足首には不似合いなガッチリとしたスニーカーが
見える。そのまま、視線を上へとずらす。ヒカルはちゃっかり自分の前に立っていて、ニッと白い歯を見せた。
ヒカルがアキラの隣へ移動して、同じようにドアにもたれ掛かった。
「怒ってるみたいだな…」
「別に…」
それはウソだ。確かに自分は怒っている。ヒカルは、アキラが絶対自分の後を追ってくると
確信していた。知っていて、ワザとあんな風に振る舞ったのだ。
――――くそっ…!この…小悪魔…
いくら酔っているとはいえ、こう振り回されては堪らない。そして、それに結局逆らうことの
出来ない自分…その事実に、彼に対する以上の怒りがあった。
(17)
「塔矢、いっつも怒ってばっかだよな…」
「キミが怒らせるようなことばかりするからだろう…」
ヒカルの方を見ないように意識した。もし、見てしまったら、怒りを持続するのが難しい気がした。
彼の甘ったるい舌足らずなしゃべり方や、くるくると変わる表情はとても愛らしく、アキラを
魅了する。そして、それを悟られまいとして、自分はワザと突き放した言い方をしてしまう。
「塔矢…」
ヒカルが顔を覗き込んできた。大きな瞳が少し揺らいでいるように見える。
「………ゴメン…」
アキラは返事をしなかった。怒りよりも驚愕からだった。ヒカルがあまりに素直なので、
どう反応していいのかわからなくなったのだ。いつもこれくらい素直だと、アキラも対処しやすい。
だが、ヒカルは、そんな自分をからかうように、好き勝手に振る舞うのだ。
無言でムッと前を見ているアキラを見て、ヒカルは悲しそうにして、目を伏せた。
そして、アキラの側を離れると、そのまま車両の真ん中あたりへ移動してしまった。
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