トーヤアキラの一日 3
(3)
まだ敷かれたままの布団を押入れに片付けようとして、掛け布団を畳む。枕をどかして
敷布団に手をかける。そこでアキラは、両親が中国に出発してからの6日間、シーツを
交換していなった事に気がついた。今日はヒカルが泊まりに来るのだから、新しいシーツに
交換しなければ、と思って、ふっと前回ヒカルが泊まりに来た時の事を思い出した。
布団の中に潜ったヒカルがシーツに鼻を擦り付けていたかと思うと
「なんだよぉ!このシーツ!」
と叫んだ。
何か不備でもあったのかと驚いてヒカルを見つめるアキラに
「ノリの臭いしかしないじゃん。ん〜もう、せっかくお前の匂いがすると思って楽しみに
してたのにさー」
と言って口を尖らせる。
思いがけないヒカルの言葉に、アキラは顔が赤くなるのがわかった。
「キミが来るからシーツを換えたのに・・・・」
「それが余計な事なんだよ!! この間は思いっきりお前の臭いがして嬉しかったのにな〜」
「えッ?・・・・そう言えば前回はシーツ換えるの忘れてたかもしれない。突然泊まりに来る
事になったし・・・」
「だろ!・・・あのさ、今度からオレが来るって分かったら、シーツ交換すんの無しな!」
「・・・・分かった。キミがその方が良いなら、そうするよ。」
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