初詣妄想 3
(3)
ランチには少し早いかと思いきや、店は客で埋まっていた。
10分ほどで席が空くと、運良く、2つしかないテーブル席の一つに通された。
カウンターの方がアキラたんとの密着度が高いし、良かったんだけどな。
―――と思ったんだけど、前言撤回。
くるぶしまである長い長いコートの下から現れたアキラたんの姿に、
俺は目がくぎ付けになった。いやぁ〜、この姿がちゃんと見られない
カウンター席なんて論外、論外!
「アキラたん!早速着てくれたんだね!ありがとう!すっごく似合うよ!」
俺のクリスマスプレゼントで全身を固めたアキラたんは、俺の予想以上に
『素敵』という堅苦しくも美しい言葉がぴったりだった。
俺はクリスマスは朝から仕事で、慌ただしく出掛けてしまった。だから、
プレゼントに袖を通した姿を見るのは初めてだ。
「大丈夫、かなぁ?なんかうまく着られなくて…。下は丁度良かったんだけど」
今日のアキラたんは、白いコットンのシャツの上に、
オフショルダーのタートルのニット、そして下はジーンズだ。
いつも行く店で見かけたそのニットが気に入ったので、
それと合う色味のジーンズもプレゼントした。
思った通り、いや、それ以上に、アキラたんに良く似合っている。
「大丈夫、大丈夫!それよりアキラたん、先に注文しちゃおうか。何にする?」
おしゃべりばかりもしていられない。俺達は手早く注文を済ませた。
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