Hope&Wish 3
(3)
仲居さんが出て行ったのを確認してから「進藤」声をかけた。
進藤は窓の近くのチェアに座って、相変わらず外を眺めていた。
決してボクの方を見ようとしない。それがつらかった。
ボクは部屋の電気を消した。そして、布団の上で、昼間から着ていたスーツを脱ぎ始めた。
「進藤」
もう一度、呼びかけた。
進藤が立ち上がった。窓から差し込む月明かりが彼のシルエットを浮かび上がらせる。
「………」
ゆっくりと歩いてくる。
もう少しで触れるというところで、急に彼はその場に座り込んでしまった。
ボクはそっと近づき、そんな進藤を抱きしめた。
彼は小さく震えていた。
ボクは言葉を持たない。どうすれば、この人に力を与えてあげられるのか分からない。
碁打ちは孤独だ。孤独に戦い続ける。
どんな苦しいことも自分で解決するしかない。それは囲碁だけでなく人が生きるということも同じなのだろう。
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