クチナハ 〜平安陰陽師賀茂明淫妖物語〜 3
(3)
「些か己を失っておりました。己の立場にして有るまじき不覚悟。
が、このようなことが外に知れては禁中の護りとして示しがつきませぬ。
勝手なお願いではありますが、出来ますればこの件はどうぞご内密に」
明は咄嗟に手をついた。立場はこちらが圧倒的に不利だが
楚々とした風情の己がしおらしくうなだれて見せれば
大抵の相手は蕩かされてしまうことを知っていた。
だが男はくっくっと哂い欲望に塗れた明の掌を己が口元に持って行くと
チュルリと音を立てて舐めた。瞬間、明の背筋に震えが走る。
蛇か何かの長く割れた舌で撫でられた気がしたのだ。
「ッ・・・!」
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