戻り花火 3


(3)
後を追うようにヒカルの花火もまた持ち主の頭髪のような金色の光を放って燃え尽きた。
途端に辺りの温度が下がる。
風に揺れる小さな蝋燭の灯りを頼りにヒカルはがさごそと派手な色の袋を探り、
新しいのを二本取り出してババ抜きのようにアキラの前に並べて突き出した。
アキラはちょっと指を迷わせてから、濃い赤紫の芯にキャンディのように先が捩れた
黄色と赤の紙飾りがある一本を選んだ。
もう片方の、銀と青の縞模様がついた細身の一本をヒカルが右手に持ち直す。
「・・・オマエ、こーゆー時は必ずハデなほう選ぶよな」
「え、そうかな。すまない。キミがこっちのほうがいいなら・・・」
「いいよ、オマエが好きなほう取ってくれたほうが。ただ・・・」
「・・・何」
「・・・意外と、ガキっぽいよな」
返事はない。
ちらりと横を見ると薄暗い中でアキラの端正な横顔が不服そうに唇を尖らせていた。
そういう所も意外と子供っぽくて、意外と可愛いと心の中だけでヒカルは思う。

小さな蝋燭の炎の上に二人して花火をかざす。
風があるせいもあってどちらもなかなか火が点かない。
暗い中で会話が途切れると互いの吐息の音と心音が伝わるようで、ヒカルは息苦しくなってしまう。
だがアキラは何も言わない。
ぼんやりとただ、黄色と赤の紙飾りの先をちろちろと焼く小さな炎を眺めている。



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