少年王アキラ 3
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美しさと傲慢さでは類を見ない我らが主君。その絶対無二の存在が他でもない自分の
為に鞭を振り下ろしてくださっている――そう思うと、振り下ろされる鞭が与える
鋭い痛みも、一瞬の後甘い陶酔に取って代わるのだ。
そしてその後には必ず与えられる王の右腕たる人物の『癒し』に人々は酔いしれる。
遠い異国からやってきた彼は、かつて貧しい漁村で生まれ育った身の上を滔滔と語り、
元々から涙腺が緩みがちだった父王と王子をかつてないほど号泣させ、入城を許された
という強者だった。
彼の生まれ育った国では薬として当たり前に売られていたという、芋類から作られた
クリームを使っての癒しは、麻薬のように住人の心を虜にしている。
(王子のお仕置きを受けたら、またあの人に慰められるのかもしれない)
座間はわずかに前かがみになり、胸ポケットからスズランの香りを放つ扇子を取り出すと
股間の前で握り締めた。
「オヤオヤ、王たる者がそんなところ泣き叫んでいるなんて。敵国に知れるととんだ恥だな」
(オガタンキタ━━━━━━(゚∀゚≡゚∀゚)━━━━━━!!!!!!!!!!)
ハハハと笑い声がどこからともなく聞こえ、座間は僅かに頬を紅潮させる。
白衣に身を包んだ長身の男が少年王のプライベートルームに颯爽と入ってきた。
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