通過儀礼 覚醒 3


(3)
「や〜、怖いよぉ」
アキラはブランコの鎖をぎゅっとつかんで叫んだ。アキラのゆったりとしたこぎ方では物
足りなかったたかしは、思い切り座りこぎでこいだのだった。
「とめて〜、とめて〜」
アキラは涙声で懇願する。そして怖さのあまり腰が抜けたのか、内股になって震えだした。
さすがにかわいそうだと思ったたかしはこぐのをやめて、ブランコを急いで止めた。だが
その衝撃で、アキラの股間がたかしのあごに思い切り当たった。
アキラは固まったまま動くことができない。
「アキラくん大丈夫?」
たかしはあごをさすりながらアキラを見る。アキラは痛そうに股間を押さえて泣き出した。
「ごめんね。ごめんね。痛いの痛いの飛んでけ〜」
たかしはそう言ってアキラの股間をさすった。
「ア…ン」
アキラは泣き声に混ぜて甘い声でないた。ふと腰の辺りにゾクッと何かを感じる。ただ股
間をなでられただけなのに、気持ちよくなってきたのだ。
アキラはなんでだろうとぼんやり考えた。
「もう痛くなくなった?」
たかしは必死になって聞く。
「うん…。でもまだちょっと痛い」
そう言われて不安になったたかしはさらにアキラの股間をさすった。アキラは本当はほと
んど痛みなど感じていなかったが、あまりの気持ちよさにもっとなでてと何度も頼んだ。
「ねぇ、アキラくん。まだ痛いの?」
あまりにも何度も言うのでたかしは心配になった。だがアキラは股間を握ってモジモジと
するだけだった。気持ちいいからなんて本当のことなど言うわけにもいかず、ただ俯いて
股間を握る。そんなアキラにたかしは自分のせいで痛くなったのだからと、謝罪の気持ち
をこめて言った。
「それじゃあ、オレの家に行こう。薬もあるから、オレが手当てしてあげるよ」
本心を言えないアキラはそれに戸惑ったが、たかしは構わずアキラの手を握ると家へ向か
った。



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