悪代官−真夏の企み 3
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後片付けを終え、お母さんの部屋から出ると、ボクは一直線に電話に向かう。もちろん掛ける先は進藤の携帯だ。
プルルル…
コール音が響くとすぐに、進藤の明るい声が耳に届いた。
「もしもしー?」
「あ、進藤?ボクだけど。あのさ、お、お祭りの日は…ふ二人共浴衣を着ないか?」
ファッションに興味の無い塔矢がこんな事を言うなんて…と不審がられたらどうしよう。なんとか落ち着いた声で淡々と話すのだが、今握り締めている浴衣に身を包む可愛い進藤を思うだけで、ボクはかなり興奮してしまっている。だからなのかボクらしくもない、二回も吃った。
「うん、いいぜ!あ、でも俺の浴衣、もう小さくて入んねぇかも…」
「大丈夫、うちにい、いっぱい、ああるから」
「そっかあ、分かった!んじゃお前んち行ってから一緒に行こうな!!」
「う、うん!」
あわわ…またどもってしまった…でも進藤ってやっぱり鈍いな。どうやら取り越し苦労だったようだ、全くボクの企みに気付く様子は無い。進藤のそういう処、大好きだよ…。
−当日−
「おーっす!塔矢!来たぜ!」
遠慮のカケラも感じさせず、ズカズカと人の部屋の中に入って来た。そんな子供らしい進藤に愛しさを感じつつ、ボクは早速計画を実行に移す事にした。まずは…
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