平安幻想異聞録-異聞- 3


(3)
「な、なんだよ、それ…」
菅原がねっとりとした手つきで、見上げるヒカルの頬をなでおろす。
「佐為殿や賀茂殿に何かがあれば、だれもが騒ぎだすだろうが、検非違使ひとり
消えたところで、誰も気にしないということですよ、近衛殿」
ヒカルは息を飲んだ。
確かに、妖怪退治の殊勲者の一人であるにもかかわらず、肩を並べて戦った賀茂アキラや、
囲碁占盤で妖怪の出現場所を特定した藤原佐為に比べると、ヒカルの宮中での知名度は
はるかに低かった。
アキラが妖怪を封じたその影で、命がけで妖怪と戦いこれを弱らせた
ヒカルの存在が不可欠だったにもかかわらず、また、佐為が妖怪の出現場所を
的中させたその裏で、精神的にもろく、時に小さな人間関係のひずみにすら心を
ゆらす佐為を支え続けたヒカルの存在が不可欠だったにもかかわらず、――
『いつも、佐為の君にくっついて歩いている敬語使いの下手な少年検非違使』――
それが、宮中でのヒカルの認知度であった。
「明日、お前が出仕せず、佐為殿が違う検非違使を護衛に連れ歩いたとしても、
誰も気にしないであろうよ」
菅原の薄ら笑いをたたえた爬虫類のような目に、ヒカルはゾッとした。
「――佐為殿への意趣返しとしてはいささか下世話な手段ではあるがな。さてさて、宴の用意じゃ」
パンパンと菅原が手を叩くと、あの夜盗風の男達が再び寄ってきて、今度は
よってたかってヒカルの衣類に手をかける。ヒカルも必死の抵抗を試みたが、
両手両足が戒められた状態ではそれもかなわず、あっというまに着衣の前を
はだけられてしまった。健康的に適度に日に焼けた腕等と違い、普段は着衣の奥に隠された、
眩しいほどに白い太ももが夜風にあらわになる。
『絶景絶景」
そう言って、菅原のうしろからずいっと出てきたのは座間だった。



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