平安幻想異聞録-異聞-<駒競> 3


(3)
そっと自分の方を向かせる。ヒカルの瞳がわずかに揺れて、どちらからともなく唇を
よせる。
庭先の朝顔の葉の先に、まだ赤く染まる前の、麦わら色のトンボが1匹、飛んできて
羽根を休めた。
重ねられていた唇が、離される。
「ほら、ヒカルの唇の方が甘い」
ヒカルはあまりの気恥ずかしさに、佐為を突き離して思いっきり蹴り飛ばして
やろうかと思ったが、それを実行に移す前に、もう一度、佐為の唇がヒカルのそれに
押し当てられた。今度は、もっと深く。佐為の舌が、ヒカルの唇にわずかに残る甘露を
舐めとる。その動きに応えて、ヒカルが唇を開けば、佐為の舌が柔らかくて甘い味の
する生き物のようにヒカルの口の中に侵入する。
佐為の腕が、優しくヒカルの腰を近くに抱き寄せた。
「もう、『お預け』はなしですよね?」
その佐為の言葉に、口付けの甘さに酔った表情のヒカルが黙って頷いた。
実は、佐為はこの十日間、ヒカルの肌に触れていない。
ヒカルがそれを許さなかったのだ。



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