平安幻想異聞録-異聞-<水恋鳥> 3


(3)
――実は、この外泊において、佐為にはひとつの下心があった。
普段、佐為に抱かれている時、ヒカルは決してその愉悦の表情を隠そうと
はしない。むしろ積極的に反応して、自分が今、気持ちがいいのだと、佐為に
抱かれていることが嬉しいのだと伝えてこようとする。ヒカルが佐為の腕の中で
あえて隠そうとするのはたったひとつ。「声」だけだ。
聞かれる恐れのある互いの自宅では仕方がない。佐為の家には泊まり込みの
下働きの者たちがいるし、ヒカルの家には祖父と母がいる。けれど、ここでは
そういった耳の心配をする必要はない。
ヒカルは、感じれば感じただけ声を上げられる。
それを期待してのちょっとした逃避行がこれだった。
少年の背を支えて、佐為がそっとその体を床に横たえる。
板敷きの上に、ヒカルの明るい色の髪が散った。
ヒカルは佐為のことを綺麗だ綺麗だというが、佐為にしてみれば
こうしているヒカルの方がよほど綺麗だと思う。
ヒカルはこの光景を自分では見られないから、そういうことを言うのだ。
近くを流れる渓流の音にオオルリの涼しげなさえずりが混ざる。
佐為は組み敷いたヒカルの上に自分の体を重ね、布越しにヒカルの胸の突起を
摘む指に力を加え、上下にもみしだいた。その動きに連動して、クン…クン…
と、ヒカルの鼻から息とも声ともわからない音が漏れる。
火照り始めたヒカルの足が、佐為の足に擦り寄り絡まってくる。
折り重なった全身をゆるく動かし、体すべてを使って佐為はヒカルを愛撫した。
すでに硬くなりかけたヒカルの中心が、布越しに自分の下腹部にあたる。
佐為はそのままゆっくりと自分の下肢がそれに当たって摺れるように動き、
体の内側にたまった熱量に耐えかねたヒカルが、声を上げるを待った。
「…ん……」
ヒカルの喉が震えて、音が零れた。



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