誕生歌はジャイアン・リサイタルで(仮題) 3
(3)
ヒカルは大慌てで走った。和谷と駅前で待ち合わせをしていたが、もう10分ほど遅れていた。
「進藤!おせーぞ!何分待たせる気だよー」
「ご、ごめんー…ちょっといろいろあってさ」
息を整えながら謝るヒカルに、和谷は「しょーがねーな」と笑って許してくれた。
まさか祖父母とあかりのバカ騒ぎで遅れたとは言えなかった。
「あれ?伊角さんは…一緒の約束だったよね」
「ああ、伊角さんは後から来るんだ。それより行こうぜ!。」
歩き出した和谷を慌てて追いかけながら、ヒカルは「どこに行くんだよ?」と尋ねる。
「今日はお前の誕生日だろ?マック位なら奢ってやるぜ」
和谷の申し出に、ヒカルは笑って頷いた。
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