金魚(仮)(痴漢電車 別バージョン) 3


(3)
 「なあ、何とか言えよ…」
黙っているアキラに焦れて、ヒカルが催促する。
 そんなことを言われても、何を言えというのだ。似合っているとか、可愛いとか言えばいいのか?
冗談ではない。そんなこと死んでも口に出せない。

 ヒカルが小さく溜息を吐いた。
―――――ちぇっ……みんな似合うって言ってくれたのに………
少し拗ねたような、呟きが耳に入った。
みんな!?
みんなって誰!?
アキラは血相を変えて、ヒカルに詰め寄った。
 一瞬ヒカルは呆然として、それからすぐにニヤリと笑った。しまったと思ったときは、
もう遅かった。
「ココじゃ何だから、向こうのベンチに行こうぜ。」
 ヒカルはニコニコ笑って、アキラの手を引いて歩き出した。



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