大人遊戯 3


(3)
「あのね、今日は進藤くんに言いたい事があって来たんだ」
「おっ、おう…」
トマトの様に赤くなりながらも真剣なアキラの瞳に、ヒカルは少したじろいだ。対局の時と同じ位真っ直ぐな目だ。
「ボク…ボクね」
「う、うん…」
言いながら、アキラはヒカルの手をぎゅうっと握ってきた。耳の先どころか、手まで真っ赤になっている。
「進藤くんの事が、好きみたいなんだ」
思ってもみなかったアキラの言葉に、ヒカルは驚いたような拍子抜けしたような、素っ頓狂な声で聞き返す。
「へっ?好きなの?」
「うん…好きなの…」
手を握り締めたまま遂には俯いてしまうアキラ。だが、やがてヒカルはその手を優しく握り返した。
「なーんだ、そんなの、オレだって塔矢の事好きだもん。おあいこだなっ」
「えっ…本当?」
「うん、ほんと。だってお前良いヤツじゃん。だから好き」
ヒカルの言う「好き」はLOVEではなくLIKEなのだが、幼いヒカルはその区別が出来なかった。
そしてアキラも、ヒカルの「好き」をその様に認識したが、それでも良いと感じた。
何しろヒカルが「好き」と言ってくれたのだ。両思いに違いないと都合よく解釈する事にした。



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