りぼん 3
(3)
自分でも顔がひきつるのがわかった。
オレ、わざと考えないようにしていた気がする。だってさあ、なあ……。
そういやオレへの誕生日プレゼント、付属があったんだよな。
塔矢が「もう一つあるんだ」って言ってきて、シューズだけでもうれしいのに、他にもまだ
あるのかってオレ、めちゃくちゃ期待したんだ。
そしたら塔矢はいきなり服を脱ぎだして、「ボクをあげる」ってのしかかってきた。
もらった気なんてとてもしなかったぜ。
まあイヤじゃなかったし、って言うか、やっぱりうれしかった。
けどあのとき、オレは絶対に自分をあげる、だなんて言いたくないって思った。
だってこいつにそんなこと言ったら、何されるかわかったもんじゃないじゃないか。
それなのにこの状況はどういうことだよ。
「………………今度、なにかやるから」
「今日ほしいんだ」
塔矢もオレが気付いたってことに気付いたみたいだ。一歩も引かない。頼むから引いてくれ。
誕生日にそういうことするのって、なんかヤダ。
「進藤、ボクは」
「はぁいアキラくん、どうぞ〜」
市河さん、ナイスタイミング!
「わあ、うまそう! このパイの上に乗ってるのってアイス?」
食べようとして、軽く手をはたかれた。
「最初はアキラくんからよっ。さぁ、食べてみて」
塔矢はフォークではしを切ると、ゆっくり口に運んだ。さっさと食えよ。オレも食べたい。
「とてもおいしいです」
塔矢がそう言うと、市河さんが頬を赤くした。何かフクザツな気分。
さてオレも食べていいよな。あ、このパイ温めてある。冷たいアイスとよく合うや。
うん、うまい。市河さん、塔矢のために一生懸命つくったんだろうなあ。
……オレだって、塔矢になにかしてやりたいって思ってる。
だから別にセックスしたっていいんだけどさ。
でもそれじゃあ、いつもと変わらないじゃないか。せっかくの誕生日なのにさ。
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