ルームサービス DON’T DISTURB 3
(3)
「・・・」
肩の下と、膝の下に入ったアキラの手がヒカルを抱き上げている。
まるで、救助される女のように。軽々とかかえあげられてしまった。
無言でアキラはヒカルをトイレまで運ぶと便器のフタをあげて座ら
せ、ドアを閉めた。
しばらくすると再びドアをたたく。
「終わった?」
「うん・・・」
するとアキラはドアを開き、便器の上に座っていたヒカルの肩と足
の下に手を入れる。
持ち上げられる。
ヒカルはベッドまで素直に運ばれることにした。おろした後、ヒカルと
アキラの目が会う。
「・・・・・・」
アキラは目を逸らし、ヒカルから離れた。
「車椅子が借りられるかどうか聞いてくる」
ぽつんと座ったベッドの上で、ドアがバタンと閉まる音を聞いた。
車椅子・・・。
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