失着点・龍界編 3


(3)
どう見てもかなり年上で、とても堅気には思えない服装の男達に両脇を
挾まれるようにして路地の奥へと三谷は消えていった。
ヒカルは胸騒ぎがした。
(三谷のやつ、また何か揉め事を…?)
三谷の存在は胸の奥に残ったままの小さな爪痕だった。何故か消えない爪痕。
ヒカルは携帯電話を手に握り、そっと後をつけた。彼等が三谷に暴力を
振るうような事があったら通報するつもりだった。ヒカルの勘は的中した。
路地奥の彼等が入り込んだ方向から罵声と共に争う物音がした。
「約束が守れねえってどういうことだ、このガキ!!」
ガッと鈍い音が響いてくる。
「…あんたらが一方的に言って来た事だろ。オレは同意したつもりは…」
三谷の声は、再び何回かくり返す鈍い音の中で呻き声に変化する。ヒカルは
携帯のボタンを押そうとした。その腕を背後から誰かに掴まれた。
「かわいい“仔犬”がもう一匹、迷い込んだなあ。」
体の大きな、サングラスをかけた中年の男が立っていた。彼等の仲間にヒカル
自身も後をつけられたのだ。ヒカルが声をあげようとした瞬間腹部に拳が入り
うずくまりかけたところを襟首を掴まれ壁に背中を叩き付けられて、
そのまま強い力で押し付けられた。
「う…ぐっ…」
「おとなしくしてな。」
その男は地面に落ちたヒカルの携帯を取り上げると自分のポケットに入れ、
ヒカルの肩を抱いて路地奥に連れていった。
そしてヒカルは、二人の男達の足下にうずくまっている三谷を見た。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル