墨絵物語 3
(3)
男はアトリエに着くなりヒカルのリュックを取り上げ、
その腕を和タオルで縛り上げた。
「ッ…検討するんじゃなかったのかよ、オレを騙したな!」
「悪く思わないでくれたまえ、これも『作品』の為なんだよ」
さらに男はヒカルに猿轡をかませ、縛った両腕の間に長紐を通し、
柱へと巻きつけた。
釣上げられた魚のようにジタバタと抵抗する『モデル』を、
男の目は上から下まで冷静に観察した。
「これだけの逸材をどうしていままでチェックしていなかったんだろう…。
私の情報網もまだまだだな」
そう言うとヒカルのベルトに手をかけ、これまた冷静に制服のズボンを引き下ろした。
火がついたように激しく暴れだすヒカル。
男は何も言わずいきなり下着の中へ手を差し込むと、
まだおとなしくしているヒカルのペニスをぎゅうっと握り締めた。
「───!!!」
あまりの激痛にヒカルが身を捩らせる。
その眦に、滴となった涙が光っていた。
いやいやと幼子のように首を振って懸命に何かを訴えるヒカルの様子を
男は満足げに眺め、
「キミはおとなしくそこで足を開いていればいいんだ」
痛いことはしない─甘い声でそう付け加えた。
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