暗闇 3 - 4


(3)
ふいに闇がヒカルの頬を撫でた。
「!?」
男の手だ、熱い。
男の両手がそのままゆっくりとヒカルの胸部へと滑り、
Tシャツの上から胸部の形に沿う様に指をすべらせる。
その手がヒカルの胸の二つの窪地を見つけ、両の親指で押すように潰し始めた。
「・・・?」
男の行動、奇妙な感覚にヒカルは恐ろしくて身を堅くした。
Tシャツの上から男は口をつけ舐めあげ、熱い唾液で片方の乳首の部分をベトベトに濡らした。
Tシャツから透けたヒカルの立ちあがった小さな小豆色の乳首をギュッとつまむと、男はTシャツの下から腕を入れ、首までめくり上げる。
そして直に熱い舌で円を描き、丁寧に舐り出す。男の片方の手がヒカルの柔らかい腹筋に触れている。
16歳の少年の匂いと、適度な柔らかさを、確かめるように。満足気に、男の息遣いが荒く、熱くなるのがわかる。
「な・・なんだよ、あっ、い、痛!」
身体を起こそうとすると身体の芯に激痛が走る。動けない。
卓上で仰向けになったまま、ヒカルは男のなすがまま、痛みで動けないままでいた。
熱い手はさっき自分を殺そうとした同じ腕とは思えないほど、奇妙に優しく自分の身体に触れる。
まるで、父親、そうだ、お父さんみたいな、いや、何をオレ考えてんだ、―ヒカルは言いなりになっていた。
でも・・じっとしていたら、コレ以上は痛くないから。だからオレはこいつにされるがままになってるんだ。
・・・・気持ち良い、からじゃない。絶対にそうじゃない。


(4)
ヒカルの身体から力が抜けた時、男は這っていた手をヒカルの竿に添え、優しく口内で犯した。
ねっとりと、くすぐるように柔らかい太股を擦りながら。男は美味しそうにしゃぶり始めた。
竿がビクビクと震えるたびに、ヒカルは恥かしさと屈辱で手を握り締めた。ヒカルは喘ぐ口を手の甲で押さえ、声を出さないよう、手の甲を噛み続けた。
目を閉じ、全てが終るのを待った。気持ち良い訳じゃない。良くなんかない。ただオレ、じっとしていたら、痛くない。痛くないから・・・
「あっ・・!ああっ」
男がしゃぶりつく。手の隙間から漏れてしまう声。暖かい舌がオレをメチャメチャにする。佐為、助けてよ佐為・・!

「塔矢・・・」
ヒカルは無意識に塔矢アキラの名前を呼んでいた。
「塔矢、塔矢・・・」
塔矢の微笑む唇。涼しげな目。
振りかえらない真っ直ぐな背中、だけど自分を呼んでいる、振りかえらない背中。
塔矢の名を呼んだ途端、身体が熱くなった。荒くなる呼吸が止められない。握り締めた手が汗をかいている。
噛みつづけた手の甲から血の味が広がる。震える唇。伝う涙。堅くなった竿の先を指の爪で弾かれた。
「あっ!」
身体が跳ねる。また暖かい物にくわえ込まれる。
「とう・・や・・とう・・あっ」
白い射精を止められず、ヒカルは声を出して泣いた。
闇は立ち上がり、自分に接吻してきた。ヒカルは目を閉じその男の接吻を受けた。



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