禁断・純愛の章 3 - 5


(3)
「あれ?お母さん、出掛けているのか・・・」
カチャカチャとドアノブを鳴らしながらヒカルは、つぶやいた。
チャイムを鳴らしても何の反応もない。
おそらく買い物か、じいちゃんちにでもいっているのだろう。
しかたないなぁ・・・。
「おばさんいないの?」
あかりは、さっきよりもっと顔を赤くして話かけてきた。
「うん、でも待ってな・・・」
ヒカルは、以前母親から預かってて今だ返してない鍵の存在を思いだし、
ガサガサとリュックを探った。
「あった!」
カチャと玄関のドアが開き、あかりを招き寄せる。
「あかり、入れよ」
「う、うん・・・」
あかりは、ゆでたタコのように顔を赤く上気させ、ヒカルに誘われるまま
家の中に入った。


(4)
「鍵閉めて、おまえ先に部屋に行ってろ!」
ヒカルはそういうと、先に家に入り一階の台所へ足を向けた。
「うん」
あかりは玄関の戸を閉め、鍵に手をかけ回そうとしたが、
思い直し鍵をそのままかけないで、二階に上がった。
さっきから足が、手が、ぶるぶる震えて落ち着かない。
これから起こる事に、不安と喜びと恐怖が入り混じる。
そしてうずまく快楽の波も。
「あ」
きゅん、とあかりのあそこが疼いた。
熱い・・・。
ヒカルと帰る前に飲んだクスリ・・・。
あれが効き始めたのであろうか。
「私には強すぎるよ、三谷くん・・・」
ヌチャ、足を動かすたびにこすれて変な気持になる。
さわらなくても分かる、ヌルヌルとした液体があふれて
股を覆い下着を濡らしている・・・。
じんじんとする下腹部を手で押さえながらヒカルの部屋のドアを
片方の手で回した。


(5)
−おじいちゃんの家に行って来ます、冷蔵庫にケーキがあるから
食べなさい。 母−
置き手紙が絶対あると思ったので、ヒカルは台所へ寄った。
でも、その手紙を見るまでは、心が落ち着かなかった、
佐為がいなくなってからのヒカルは、一人になるのを非情に嫌った。
親しい友人、両親、祖父母がいずれ自分から去る・・・そんな恐怖が
常に心の奥底に巣くってしまったようだった。
自分で自分を叱咤する。
”なさけないな、オレ、男のくせにびくびくして”
”佐為にいずれ会えたとき、笑われちまう”
やがて目頭が熱くなり、視界がぼやけてくる。
”やっべ〜、またオレ・・・”
ぱんっ
なんとか自分の頬を両手で打って、思考を切り替えた。
”そっだ、あかりのおやつ・・・”
冷蔵庫を覗くと手紙の通りケーキが入っていたが、やはりヒカル一人分しか
ない。”やっぱりねえか、2つは・・・・”
ふ〜とため息が出た。ヒカルはケーキを取り出して眺める。
ショートケーキだ、おいしいという店の・・・ヒカルはじっとそれを見た。
あかりに食わせるか・・・別の何かにするか・・・。
ヒカルもそこのケーキが好きだった。そこは行列の出来る店でなかなか
機会がないと食べられない有名なとこ。
だが、男の自分が並んでまで食べるなんて恥ずかしいと思ってしまうヒカルは、
母親がまれにこうして買ってきてくれるのを結構期待して待っていた。
あかりにあげるべきかな、でもオレも食いたいし、あいつダイエット
してないかな、そしたら食えるでもあいつの前でケーキ食うっていうのも・・。
う〜んと腕組みして迷ったが、食べたいという自分の欲求が勝ってしまった。
”よし、あいつが帰ってから食べよ、他の菓子があるかな”
冷蔵庫にケーキをしまい込み、そして棚を物色し始めた。
母親が、明日客人の為に出す羊羹を見つけるのはそれから約10分後・・・。



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