初めての体験+Aside 30 - 31


(30)
 さて、いよいよ寝ようかというときに、アキラがヒカルに言った。
「進藤、ボクの部屋で寝ようか?」
さっきのヒカルの様子からして、当然OKするものと社は思っていた。
 だが、ヒカルは意外にも「イヤだ!」とアカンベをした。
「オレ、社とここで寝る!」
そう言って、さっさと布団を敷き始めた。アキラは予想外の返事に少し驚いたようだったが、
「仕方ないね」とあっさり引き下がった。
「じゃあ、二人ともおやすみ…」
アキラは自室へ帰った。

 社はドキドキしていた。ヒカルと枕を並べて、一夜を過ごすのだ。
『どないしょう。オレ、今晩も寝られへんかもしれへん…』
黙っていると気詰まりで、社はヒカルに色々と話しかけた。ヒカルも機嫌よくそれに答えていたが、
昼間のことを持ち出した途端不機嫌になってしまった。ヒカルは、社を無視して、背中を
向けた。
『聞いたらアカンこと聞いてもたらしい…失敗や…』
溜息を吐いて、布団に潜り込んだ。
 暫くして、ヒカルが社にすり寄ってきた。
「どないしたん?」
「社…オレとしない?」
思いがけない申し出に、心臓が止まりそうになった。


(31)
 ヒカルが社の顔を覗き込んできた。暗闇でもわかるくらい間近にヒカルの顔がある。
大きな瞳。愛らしい口元。社は唾を呑み込んだ。
「どう…?」
「…したい……けど…」
アキラの家で、ヒカルとそういう行為をするのは気が引けた。ヒカルはもともとアキラの
恋人でそこに社が割り込んできたのだ。ヒカルのことが好きで好きだたまらないが、
それでも社の中にある生真面目な部分が、それを良しとしないのだ。
―――――いくらなんでも、それはアカンと思う…
自分でもやせ我慢だと思う。本当は、このままヒカルの誘惑にのってしまいたい。
 黙り込んだ社の気持ちを感じ取ったのか
「ゴメン…オレ、無神経だったな…ゴメンな社…」
ヒカルは謝った。そして、自分の布団へと戻る。
「…進藤、手ェ繋いでもええか?」
手を伸ばすと、ヒカルは黙って自分の指を社の指に絡ませた。

 暫くして、隣からスウスウと小さな寝息が聞こえてきた。ヒカルも疲れていたのだろう。
興奮して眠れないかと思っていた自分も、その可愛らしい寝息につられるようにいつの間にか
夢の世界へ引き込まれていた。



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