闇の傀儡師 30 - 32


(30)
大きな手がヒカルの腕ごと上半身を両脇から挟み、ヒカルの返事を促すように力を入れられる。
ヒカルは力なくただ首を横に振り、項垂れる。
「お願い、助けて…」
膝の上にポタポタと涙が落ちた。全身の震えが止まらない。
「返事は?ヒカルくん?」
ヒカルはもう一度首を振る。物凄く怖かったが、男が言う通りに念じる事の方が
恐ろしい結果になるような気がした。
そして微かだが、アキラが今も自分のそばに居てきっと何とかしてくれるような、そんな気がした。
実際アキラは、ヒカルが酷く体を震わせ始めているのを心配して抱きしめ、体のあちこちを摩っていた。
アキラに会いたい。アキラの元に帰りたい、とヒカルは改めて強く思った。
「…そうかい、素直になれないようだね。」
男の両手が背後から救い上げるようにヒカルの腰の部分を持ち上げた。
「ヒッ」
体が宙に浮いて、両足首に下がった重りが相当重量がある事にヒカルは気付いた。
そのまま三角木馬の上に体を運ばれていく。
「や…っ、あっ…、」
男の手が、ぱっくりとヒカルの両足からその付け根を開かせ、尖った頂上の線に添うように
触れさせた。
「うあああ…」
男が両手を下に下げてヒカルの体重を手放すに連れて、ヒカルの股間に、臀部の谷間から
局部の根元にかけて一直線にジワジワと痛みが走る。
自分の体重と重りの分が、その線上に全てかけられていく。
バランスを崩して左右に倒れない男の手が触れるか触れないかの位置でヒカルの体を
維持してはいるものの、苦痛を軽減する手立ては何一つヒカルにはなかった。


(31)
「う、うう、くう…」
あと僅かに力がかかればその部分に木の刃が食い込んで皮膚が裂けそうで、
全身に冷や汗を滲ませ、カタカタと震わす。
時間が経つにつれて足首に重りがずしりと食い込み、その分局部への痛みが増大していく。
「はあ…、あ…」
ヒカルは貧血を起こし、ふらりと横に倒れそうになった。
だが男の手に支えられ、ぐらついた体を真直ぐに直される。
その時ヒカルの体を抱く男の手が腰に回って力が入り、若干ヒカルの体が上に持ち上げられた。
局部への体重のかかりが減り、ヒカルがホッと息をついたとたん、男の手が離れた。

「ぐあああっ!!!」
凄まじい程のヒカルの悲鳴にアキラは驚き、今度はどの部分を責められているのか
ヒカルの体を探った。
「まさか…」
アキラはヒカルの両足の間に回り、そおっとそこを開いた。
「なんて事を…!」
既にその部分は縦に線を引いたように赤く盛り上がり、ところどころ血を滲ませていた。
「うああっ、かはああっ!」
再度ヒカルが狂ったように叫び、びくんびくんと全身を痙攣させた。


(32)
木馬の刃の上で数回体を持ち上げられて落とされ、ほぼヒカルは失神しかけていた。
「もう一度だけ返事を聞いていいかい。」
男の声が耳元で囁く。もうだめだ、耐えられないと思った。
何故か木の刃の上でヒカル自身が勃ちあがりかけていた。
ヒカルの心情を見透かしたように男が優しく話し掛けてきた。
「人はあまりの苦痛に勃起する事があるのは本当のようだね。ここに居てくれる気になったのなら、
いちおうちゃんと返事を聞かせてもらおうか。そうしたらすぐにここから下ろしてあげるよ。」
男の大きな手がヒカルの顎を持ち上げた。頬を涙で濡らしたヒカルが蒼白な唇を震わせながら
何かを言おうとした。男は口元に笑みを浮かべてヒカルの言葉を待った。
その時だった。
「…はあっ、…ん…」
僅かに開いたヒカルの唇から切なげな吐息が漏れた。
男はそれを聞いて「くっ」と唸った。
「あ…あ、あつ…い…」
それは先刻までの拷問として身を焼く熱さでは無く、どうしようもないほどに甘美に体を
奥から癒そうとする熱意の熱さだった。

ベッドの上で、ヒカルの両足の間にアキラは自分の体を重ねていた。
ゆっくりとした動きでヒカルの内部に自分自身を挿入し、抽出する。
もちろん赤く腫れ上がり裂けかかっていた狭門部分を念入りに舌でほぐした後で
負担がかからぬよう少しずつ少しずつ進めたのだった。



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