平安幻想異聞録-異聞-<水恋鳥> 31
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佐為の唇が、胸の果実を離れ、その二つの実の間の胸筋の極浅いくぼみのような
谷間を這った。
ヒカルの体は全身が極端に感じやすくなっていて、佐為の息がその体に吹き
かかっただけで、痺れに体を振るわせ、声をあげた。
「はっ、あんっっ!あんっっ!あんっっ!やっぁん、あっっ!」
休む間もなく乱暴に揺さぶられて、ヒカルが腹の底からわき出したような鋭い嬌声を
つむぎ続ける。
耐えかねて、ヒカルの足が細かく痙攣しながら佐為の腰を強く締め付けていた。
「熱い、熱い、やだっっ! はんっ!」
濡れた睫毛の奥で薄く開かれた瞳は、法悦の中で焦点を合わすことを放棄して、
ただ透明な液体をこぼしている。
佐為が、ヒカルの男根の根を解放した。
同時に自分も、中に溜めた精をヒカルの中に打ち付けるように吐きだす。
「あぁぁぁっーー―――!」
身をよじるようにしてヒカルが、体を大きく弓にしならせた。
ヒカルの放ったものが、川の中で白いもやのように広がって、下流へと流されて
消えた。
佐為は、今は自由になったほうの手でヒカルの下肢を引き寄せ、腰を押し付ける
ような動作で、断続的にヒカルの奥に残りの精を吐きだした。
「あぁぁっ……ああ……っ……あぁ……」
それが、自分の内壁を塗らす熱さを感じる度、ヒカルも合わせて途切れ途切れに
か細い喘ぎを漏らす。
背中にまとめた腕をほどき、自由にしてやる。それから最後まで精を出しきって
しまった自身もヒカルの体から抜いてやると、ふぅっとヒカルの体から力が
抜けるのが判った。
柔らかくなった体は、そのまま下に沈んで………
「ヒカル?!」
そのまま川に体を沈めて溺れそうになったヒカルを、佐為は慌てて抱え上げると、
すぐ近くの低い岩の上に押し上げた。
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