初めての体験+Aside 31
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ヒカルが社の顔を覗き込んできた。暗闇でもわかるくらい間近にヒカルの顔がある。
大きな瞳。愛らしい口元。社は唾を呑み込んだ。
「どう…?」
「…したい……けど…」
アキラの家で、ヒカルとそういう行為をするのは気が引けた。ヒカルはもともとアキラの
恋人でそこに社が割り込んできたのだ。ヒカルのことが好きで好きだたまらないが、
それでも社の中にある生真面目な部分が、それを良しとしないのだ。
―――――いくらなんでも、それはアカンと思う…
自分でもやせ我慢だと思う。本当は、このままヒカルの誘惑にのってしまいたい。
黙り込んだ社の気持ちを感じ取ったのか
「ゴメン…オレ、無神経だったな…ゴメンな社…」
ヒカルは謝った。そして、自分の布団へと戻る。
「…進藤、手ェ繋いでもええか?」
手を伸ばすと、ヒカルは黙って自分の指を社の指に絡ませた。
暫くして、隣からスウスウと小さな寝息が聞こえてきた。ヒカルも疲れていたのだろう。
興奮して眠れないかと思っていた自分も、その可愛らしい寝息につられるようにいつの間にか
夢の世界へ引き込まれていた。
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