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「塔矢ッ!」
青ざめたヒカルがアキラに馬乗りになっている男に飛びかかる。だが、もう一人にすぐに取り押さえられる。
「お前はここで一緒に見学してな」
暴れるヒカルをいとも簡単に羽交い締めにすると、耳元でそう囁き、いとおしそうに耳たぶを舐める。
「ははっ!そりゃいい。なぁ、じっくり見ててくれよ?」
動向を見守っていた男も上ずった声で応える。
「お友達の進藤君も塔矢君のイヤラシイかっこ見たいって。じゃあいいとこみせないとなぁ?」
今度はアキラに顔を向け、ハァハァと荒い息をはく。
はたして何人目だろうか、こういう…下卑た人間を目の当たりにしたのは。その狂気に満ちた目が自分の幼い頃の記憶を呼び覚ます――――頭になど留めておきたくない過去。
アキラにはそれがいくつもあった。全て忘れ去ってしまいたい。だがアキラがいくらそう願っても、小さかった自分が受けた衝撃は、消えてくれない。
『みんなには内緒だよ。こんな事がバレたら困るのは塔矢先生だからね…』
荒い息をつき、血走った目をさせて最初の男は呟いた。狭い部屋で服を脱がされ…貫かれた。
ただ泣く事しかできなかった五歳の僕。それから幾度となく似たような体験をした。
凌辱を、されるがままに受け入れていたそんな僕が変わったのは、進藤と出会ってからだ。
彼に恥じない打ち手に…人物になりたくて。
なのに…
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