塔矢邸 31 - 33
(31)
「くうっ、ううんっ…ん」
社の顎あたりでヒカルが頭を振り、柔らかな髪を揺らす。
汗に混じるヒカルのほのかに甘い体臭が社の感覚を刺激する。
「…進藤、お前って…ホント、めっちゃカワエエな…」
「な…に、いってん…だよお…!」
ふいに社の指に力が込められ、ヒカルの突起が潰された。
「あ…んんっ」
その鈍い痛みさえもヒカルを切なく追い詰める刺激になっていく。
「進藤には自覚がないんだよ…。」
アキラがヒカルを吸い立てながら話す。
乳首を嬲られた事で、アキラの口の中でそのヒカル自身が跳ね上がりながら質量を
増していく。同時に咥え込んだ社を強く締め付ける。
「…どんなに自分が素晴らしい素質を持っているかをね…。」
ヒカルの感度の良さにアキラは感心していた。
逆らいたくても、ただでさえもう気力も体力的にも限界に来ていて、
両腕も二の腕部分を社の肘に押さえられてしまいヒカルはどうにも出来なかった。
社の体というまな板の上で、ヒカルはまさにただ調理されるだけの魚同然だった。
刺激から逃れようと身を捩っては押さえ付けられ、より深く、より先端部分を
弄られ陵辱されてしまうのだった。
「…もう…、やあっ…だあっ…!!」
(32)
胸の頂点と自分自身の先端と、体内にあるもっとも敏感な部分を同時に激しく
刺激され、首から下がもう溶けてぐちゃぐちゃになっていくような痺れを感じた。
「ひうっ」
ほとんどもう言葉にならないうめき声を上げて、ヒカルは全身を震わせた。
閉じた目蓋の中が真っ白に弾けて、もうどこにも残っていないと思った体液を
アキラの口の中に放出した。
「ふ…ううーん…」
痙攣は長く続いた。最後までアキラはヒカルを口から離そうとしなかった。
そしてようやくアキラが顔を離し、ヒカルはこれで終わったと思った。
だが、そうではなかった。
ぼんやりとアキラを見つめるヒカルの目に、完全に勃ち切ってそそり立つ
アキラ自身が映った。
「悪いけど…進藤、…もう少しつき合ってもらうよ。」
ヒカルは目に涙を浮かべて力なく首を振った。
だが有無を言わさず、今度はアキラによって社から引き離され、そのままアキラは
ヒカルの両膝の間に腰を入れて進めて来た。
「あ、ああー…」
ガクガクとヒカルの膝が震えた。異物の侵入に馴染み切ったそこは、
アキラを一気に根元まで呑み込んだ。
すると、ヒカルの体の下から抜け出た社がヒカルの顔の間近に屈み上半身に
覆いかぶさるような姿勢をとった。
(33)
嫌な予に、ヒカルは顔色を無くした。
「スマン、進藤。オレ、今のでまだイってないんや…。」
上を向いていたヒカルの顎がさらに首を仰け反らさせられるようにされて、
社のモノを口の中に押し込まれた。
「ふぐっ…っ」
そのまま連動するように社とアキラは動き始めた。
動きながらアキラは勢いを無くしたヒカル自身をそっと手で握り、抜き始めた。
もうヒカルは何も考えられなかった。考える事を放棄した。
喉と直腸の中に突き入れられ抽出されるのはまるで一本の棒で串刺しにされて
いるような錯角がした。
微かに覚えているのは喉の奥と腸壁に同時に熱い液体が流れ込む瞬間、
やはり自らもアキラの手の中に放った事だった。
脳の中心が溶けるような感じがした。
「明日の夜は社君をと思ったけど…もう一晩、進藤でもいいかもしれない。」
気を失うようにして眠りに落ちる時、
そんなアキラのつぶやきを聞いたような気がした。
夢だ、と自分に言い聞かせてヒカルは暗闇の沼に沈んでいった。
《塔矢邸・終わり》
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