Shangri-La 31 - 35


(31)
ヒカルは、唖然としていた。
今のアキラは、寝ぼけているのかもしれないとはいえ、随分情熱的だ。
その見たこともない激しさを、飢えてんなぁ、と他人事のように思った。

「塔矢…?」
やっと唇を開放され、どうした?と聞こうとした瞬間にまた塞がれる。
ほんとコイツ、キス好きだよなぁ、と思っていると、
アキラの手が脇腹の辺りに伸びてきた。
くすぐったさに身を捩ると諦めたようで、下半身を擦り付けてくる。

オレって、もしかして今、塔矢に襲われてる…?

まさか、アキラに襲われるとは思ってもいなかった。
ヒカルの知っているアキラは、ひどく甘えたがりの恥ずかしがりで、
それが普段の凛とした雰囲気とは相反して、可愛いなと思うのに
今のアキラに、そんな様子は欠片もない。

実際、アキラの中には沢山のアキラがいて、場所や状況に応じて
器用に使い分けていることは知っている。
でも、ヒカルの知っているどのアキラも、今のアキラとは違う。
自分しか知らないアキラが存在することに優越感を感じていたが
逆に考えれば、自分が知らないアキラも居るのかもしれない。
しかも、結構沢山居たりするのかも…。


(32)
正直、ヒカルは疲れていた。もう何も考えたくないと思うのに、
突然復旧した思考回路は、考えることをやめさせてはくれない。
このままアキラに身を預けたら、もうじき熱に浮かされ
何も考えられなくなるだろう。
―――早く、楽になりたい……。

(ヤりたかった訳じゃないけど、朝まで時間を潰すのも結構めんどいし
コイツわがまま言い出したら止めても絶対きかねぇし、
この分だと好きにしてそうだし、このまま相手した方が、ラクか…?
それに、このままにしてたらどうなるか、見てみたいし……)

先刻、半端に煽られたヒカルの熱が再燃するまで
さして時間はかからなかったが
タガが外れた思考は止まることなく廻り続け、
結局、ヒカルは熱を帯びた身体で思考の渦にさらされる事になった。


(33)
アキラはヒカルを唾液まみれにしながら、熱を持った股間を
ヒカルに擦りつけた。ヒカルも既に熱く張っているのが分かる。
幾度も擦り付けているうちに、ヒカルの手がシャツの上からアキラに触れた。
そっと脇腹をまさぐったかと思うと、少しずつせり上がってくる。
(あぁ、もっと……、もっと…………)
アキラはますます快楽を求めるも、纏った布が邪魔をして
感触が期待よりもずっと曖昧だった。
あまりの焦れったさに、全て剥ぎ取ろうと身体を起こした。

部屋は、二人の呼気が荒々しく音を立てる他は全くの静寂で
ベッドの上は、まるで切り取られた別の空間のようだった。
アキラはまず自分の着ているものを勢い良く脱ぎ捨てると、
ヒカルからシャツを脱がせ、スウェットと下着を一気に引き下ろす。
露になったヒカルの怒張を嬉々とした表情で眺め、
ヒカルの脚の間に割り入ると、ひと息に銜えた。
「あ…!」
急に温かく湿ったものに包まれて、ヒカルは声をあげてしまった。
アキラは笑みを浮かべたまま、目だけをちらりとヒカルの顔に向け
口いっぱいにヒカルを頬張った。上顎の一番敏感な場所に先端があたって、
その一瞬に感じた熱さで、全身の毛穴が開いたように思えた。
丹念に、激しく舌で愛撫すると、ヒカルは声は出さずに息だけを荒げ、
ちらりと見遣ったその切ない表情に、更なる笑みがこぼれる。


(34)
鼻から抜ける甘い声でうっとりと鳴きながら、音を立てて舌を使うと
アキラの口の中で、ヒカルの熱がどんどん上がっていく。
「とぉ、や……ダメ……や…!……っちゃ……」
ヒカルはアキラの髪を掴んで、引きはがそうとするが
アキラはますますヒカルを喉奥まで銜え、付け根を丹念に手で撫でながら
強く吸い上げた。ヒカルの声にならない短い悲鳴が上がる。
もう限界が近いと判断して、一旦ヒカルを解放しようとしたが
離す瞬間、歯でそっと先端を撫でたのが効いたのか、ヒカルは精を放ち
ヒカルの腹と、離れようとしたアキラの髪を僅かに汚した。

「あーあ、勿体ない…」
アキラは呟くと、堅さの少し落ちたヒカルのペニスを再び口に含み
先端に残った雫を舐めとって、予想外の濃さに顔をしかめた。
舌先で悪戯っぽく愛撫を施すと、ヒカルはすぐ回復した。
同時に、ヒカルの下腹部に散った精液を掬い、その助けを借りて
自ら後孔に指を差し入れ、少しずつ中まで塗りこめていった。
もう、一秒も待てない。受け入れる準備すらもどかしい。

待ち焦がれたものをようやっと手に入れる歓びで、アキラの顔が綻ぶ。
嬉しさと期待と幸せとに満ちあふれ、輝かんばかりの笑顔だった。
「嬉しいの…?」
アキラはヒカルをちらりと見ると笑顔のまま頷いて、
ヒカルの腰を跨いで自ら導き、ゆっくりと腰を落とした。
秘肉が割られる瞬間、アキラの笑顔はさらに幸せに彩られた。


(35)
激しく上下するヒカルの胸の向こうで、アキラの漆黒の髪が揺れる。
(うわー、オレ、口だけでイっちゃったの?
 まー確かに暫く抜いてなかったけど、にしても情けねぇ……)
その髪に触れようと、ヒカルは手を伸ばそうとしたが
身体は言うことをきかず、ただアキラを見ているだけしかできなかった。

アキラは自らヒカルの上に乗ろうとしていて、
その頬は幸福に色づき、好色な笑みを満面にたたえている。
そこには確かに、ヒカルの知らないアキラが存在していた。

(オレ、こんな塔矢、知らない…。コイツ、誰だ?)
ヒカルの中の警戒心が、アキラに声をかけさせた。
「嬉しいの…?」
気の利いた言葉が出てこない自分が情けない。

アキラはヒカルの言葉に嬉しそうに頷き、自らヒカルを受け入れた。



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