裏階段 ヒカル編 31 - 35


(31)
指の動きに倣って外へ押し出そうと腸壁が動くき始めたところへ再び内部に指を進める。
「あ…んっ…んっ…!」
振幅の大きな抽出を繰り返し、次第に動きを速める。
常にそうして内壁の蠢きの反対の動きを与えてやると腸壁の隅々まで血液が行き渡って
腫れ上がり、表面が滑らかになる。
さらに直接口をそこに当てて唾液を注入しながら舌で狭道を押し開く。
「…んああっ、…ハ…アア…、」
しっとりと十分に奥まで濡れほぐれ、鮮やかな赤みを放つそこはほとんど女性の器官と
変わりない具合になる。その頃には進藤はただオレの下肢に取りすがり、
泣き声に近い喘ぎを断続的に漏す事しか出来なくなっている。
その進藤の体を脇へやって上に覆いかぶさり、腰の部分を重ね、進藤の耳元へ唇を寄せて囁いてやる。
「…ヒカル…」
すると進藤は歓喜の溜め息を漏し安心し切ったように体から力が抜けていく。
ゆっくりと進藤の内部へと進める。
「…ん…、ん…、ん…っ」
燃えるように熱く柔らかな肉壁がオレを押し包んでざわめく。
それはそのまま進藤が強く感じている状態を示している。
「あ…、あっ、ああ…っ!!」
「…ヒカル、…ヒカル…」
今にも背中から翼を広げてさらに手の届かぬ空間に飛び立とうとする魂を
地に縫い付けるように押さえこみ追い上げる。
少なくともその瞬間だけは紛れもなくオレの一部が彼の中に溶け込み一体化すると錯覚出来る。


(32)
「うあっ…、あ…!あ…!」
「…ダメだヒカル、まだだ…」
呼び掛けながら腰の動きを速める度に、進藤が身をよじり両手でシーツの上をあてなく動かし掻く。
進藤の下腹部にまわした手で彼のモノの根元を握り、湖面を蹴って今にも飛び立ちそうな
白鳥を捕らえる。翼が激しく打ち据えられ白い羽根があたり一面に散る。
「ああっ、う…あっ、やああっ…!」
飛び立てないまま内部を激しく嬲られて進藤が悶絶するような悲鳴をあげる。
限界だと思い、手を緩めると同時に強く抜き上げ、腰を激しく動かす。
「ひ…あ」
その瞬間進藤は一気に弾けた。
「うああああーーーーーー…っ!!!」
電流を奔らせ痙攣する彼の体に感電するようにこちらの体にも耐え難い波動が起こる。


(33)
「くっ…、…う!」
しなやかで精密に締まる筋力によって魂を吸い取られるように我が身を絞り抜かれる。
「くうっ…ふっ…ぐ」
アキラとの時にも滅多に漏れぬ声が漏れる。
自分をなくした状態の進藤と体を合わせた時だけ、こうしてその一瞬を共有できる。
進藤との交わりはアキラとはまた別の味わいがあった。
アキラとのsexが相手の存在を確かめ合い極めて人間臭い精神的な交感が起こるのに比べて
進藤とのそれはもっと動物的なものだ。本能的で、そして刹那的だ。
暫くの間声もなく身を震わせ続けた後、シーツに手を置いて海老反るように身を起こしていた
進藤の体は気を失うようにして脱力し崩れ落ちる。
全身がびっしょりと汗にまみれ、四肢が僅かに痙攣する彼の体をそっと抱き起こすと
涙の筋が幾つも頬やこめかみを伝った痕が残されている。
様子を見て、呼吸があるのを確かめてそのままそっと体をタオルで拭き取り、布団を掛ける。
進藤の唇が動き誰かの名を呼ぶ。
それが聞き取れないのはオレ自身が心を閉ざしているからだ。
その唇が自分の名を綴る事はないとわかっていたからだ。


(34)

「…緒方さん、緒方さん…」
アキラがオレの名を呼ぶ。
光に包まれた場所の中から真っ直こちらに駆け寄ってくる。
幼い時のもののようであるし、ほぼ目線が変わらぬ今の姿のようでもあった。
彼はどんな事があってもそうやってオレを慕ってくれるのだろう。
オレがどういう人間であっても、彼にどういう仕打ちをしてきた者であっても。

アキラがブロ試験に合格し、久々に先生に呼ばれ
先生の部屋で2人で碁盤を挟み向き合った。
先生の表情はどこかホッとしたように穏やかだった。
アキラの実力はわかってはいても、それでも親として嬉しかったのだろう。
「…そんなに安心していられませんよ。アキラ君はこれからなんです。」
「わかっている。これからも一層厳しく接していくつもりだ。むろん、緒方君、君も…」
「わかっています。」
そして一瞬言い淀んで先生が言葉を続ける。
「…アキラは相変わらず君のところによく行っているようだが…」
ドクン、と胸が高鳴ったが先生には気取られぬよう表情を変えなかった。


(35)
「いえ、最近はそうでもないですよ。」
その時の為に選び用意していた淡々とした口調で答える。
それは事実そうであった。ただ昨日アキラはオレの部屋に来ていたが。
「…そうか。…」
何か言葉を継ごうとしながら、先生はそのまま盤上に視線を落とした。
その頃には、アキラと肌を重ねた翌日でも先生と普通に会話出来るようになっていた。
先生がオレを、いや、アキラを信じようとしているのがわかるから、
オレはそれを裏切らないように、アキラのウソの共犯者となるしかなかった。
先生もまた共犯者だったかもしれない。
進藤という枷を受けながら、アキラはオレとの関係を空気のように肌に馴染ませていった。
それすらも彼の中では昇華され彼の聡明さを少しも曇らせるどころか、
年令を超えた凄みや深みの色を重ねていく。
その仮面をオレとオレ以外の大人の前で鮮やかにつけ変える。



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