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逃れられない環境ならばと、盤上にすべてを賭けることですべてを「ないこと」にしてきた。
でもいつからか、同じ刺激を繰り返されることで自分の体が女のように反応し始めた時のあの屈辱・・・
「最近感度がよくなってきたじゃないか、楽しんでるんだろう?」
思わず知らずに声を上げつづけてしまった時がある。
ある男に初めてそういわれた後、一人になった夜、皿を部屋の床にたたきつけて泣いた。
もう死んだほうがましだと思った。
でも、そんな憎い相手を
一人、また一人と盤上で打ち負かすようになってからは皆気まずくなったようにボクに手を出さなくなっていた。
勝ったと思った、自分の力で。
なのにいまさら、何でこんな連中に・・・
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