ルームサービス 32 - 33


(32)

吐き出すようにアキラは言った。
「犬!進藤の体をおさえろ」
「塔矢!」
ヒカルは暴れたが、二人がかりで浴室の床に押さえつけらるまでさほどの
時間はかからなかった。
両手を肩の上で犬に抑えられ、大きく胸をあえがせる。
それでも、逃れようともがくヒカルに向かってアキラは言った。
「犬に入れられるのはいやか?だったらおねだりするんだな」
ヒカルの動きが止まった。
「ボクの手を入れて欲しいって」
涙のたまった大きな瞳が、アキラを見つめる。
沈黙のあと、ヒカルは静かに言った。
「手を離して」
犬が抑えていたヒカルの手を離した。
ヒカルは、アキラを見つめたまま、拘束具の線のついた手を、震えながら
下半身にのばす。
自分で足を開き、その中心に2本の指を指し込み、真っ赤な粘膜を露出させた。
そうして一度目を閉じ、決心するように唇をかみしめあと。
言葉が紡がれた。
「ここに・・・・とうや・・・の・・・てを・・・いれて・


(33)
バスルームのあかりと薄い湯気の中、手が上下する。
掲げた右手の上から下へと、アキラの左手が滑り、ヒカルの体内に入り込むための潤滑剤を塗りつけている。
ヒカルの顔の前で、見せつけるように行われている作業。
ヒカルは、焦点のぼけた瞳でそれをみている。
しかし、眼のふちの赤みがだんだんと増している。

犬は何もしてない。ただ手持ち無沙汰だ。ヒカルに触れていいものか
どうかもわからない。ただ、存在している。傍観者として。

爪の先から指のまた、肘まで、十分に滑りが与えられた。
手袋は使用しないことになった。
アキラの素手がヒカルに入る。



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