初めての体験+Aside 32 - 33


(32)
 どのくらい時間がたったのか眠っていた社の脳が異変を感じ取った。
「……!…っ」
何か音が聞こえる。社の意識が覚醒するにつれ、ただの音が言葉として明確な意味を持ち始める。
社はぼんやりと音のする方に顔を向けた。
 「…や…やだ…!やめてよ…塔矢…」
ヒカルが小さな声でアキラに抗議をしている。
「静かに…でないと彼が起きちゃうよ?」
楽しそうなアキラの声にヒカルは黙った。
 ピチャピチャという湿った音が社の耳を打った。
「やだよ…やめてよ…やめってったら…!」
それでも音は止まない。
「ア…やだ…ホントに…やめてよぉ…」
ヒカルは小さな声ですすり泣いた。
 信じられない光景だった。眠っている社の隣でアキラがヒカルを抱いている!?ヒカルと
自分の手は未だ繋がれたままだった。
 「し――――っ。聞こえちゃうだろ?」
ヒカルの胸を嬲っていたアキラが顔を上げた。闇の中ではよく見えないが、手はまだ
小さな突起を弄っているようだった。
「ん…ふぅ…お願いだからやめてくれよ…」
アキラを押しのけようとする。繋がれていた左手を外そうとするのをアキラが押し止めた。
「動いちゃダメだよ。」
社が起きてしまうと言われて、ヒカルは抵抗を止めた。だが、口からは絶えず、哀願を
繰り返す声が紡がれている。それでも、アキラはヒカルを嬲る手を止めようとはしなかった。


(33)
 「や…だ…アァ、ア…いやだぁ…!」
ヒカルが高い悲鳴を上げた。その声に自分で驚いて「あっ」と、口を押さえる。
 闇になれた社の瞳に、アキラがヒカルの下肢を弄んでいる姿が映った。
「お願いだよぉ…もう…やぁ…」
どんなに頼んでも止めてくれない。ヒカルは諦めたのか、首の所まで捲り上げられた
パーカーの裾を口に銜えた。
「そうだね。それなら、きっと聞こえないよ。」
アキラがヒカルの頬を撫でた。
 社は、叫びたかった。自分が起きていることを知らせたかった。止めて欲しい。自分に
そんなヒカルの姿を見せつけないで欲しかった。だが、自分に聞こえないようにと必死で
堪えているヒカルのことを考えると、それをすることは出来なかった。
 「う…うぅ…く…」
繋がれた手を伝わって、ヒカルが今何をされているのかが伝わってくる。
「んん―――――――――!」
ヒカルが社の手を強く握りしめた。そして、ブリッジをするように身体を仰け反らせる。
 アキラが身体を揺らすと、ヒカルの身体も同じように揺れた。そして、社の腕も同じように
揺らされた。
「ん、ん、ううん……ん!」
強く握られたヒカルの指先から力が抜けた。



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